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伝説のコーヒーチェーン「ホワイト」の歴史を紡ぐ店

神戸の喫茶店文化を語る上で欠かせない大衆喫茶「ホワイト」は昭和初期から中頃にかけて人気を博したコーヒーチェーンです。当時の面影を残す神戸市中央区の「喫茶 大安亭(おおやすてい)ホワイト」は、昔ながらのメニューと店主夫妻の温かいもてなしで、常連客はもちろん、レトロ喫茶ファンからも愛されています。

夫婦二人三脚で半世紀守り続ける憩いの場

1926(大正15)年、神戸・新開地に誕生した「ホワイト」の1号店は、コーヒーとケーキのセットを格安で提供し、瞬く間に評判に。その後、のれん分けが相次ぎ、最盛期には約70店にまで拡大しました。しかし時代とともに減り続け、現在、神戸市内で営業しているのは4店舗のみ。1964(昭和39)年創業の「喫茶 大安亭ホワイト」は、約50年大きな改装をすることなく営業を続けている貴重な一軒です。

現店主の浜本邦夫さんが先代から店を買い取ったのは1977年のこと。同店に氷を配達した時にアルバイトをしていた妻の佳代子さんと出会い、1968年に結婚しました。その後、先代に勧められ夫婦で店を引き継ぐことに。

「ちょうどこの店が入るビルの建て替えの時期で、内装も新しくすることになって。壁から天井にかけてのアールがかかった板張りやら、丸い窓やらがしゃれてるやろ」と邦夫さん。山小屋のような店内は、舷窓(げんそう)に似た丸窓や、長年大切に使われてきた一本脚の回転チェアやカフェテーブル、ひし形のモザイクタイル調のクッションフロアなど、昭和レトロな雰囲気が漂います。

この店が長く地元で愛されている理由は、休みがほとんどない営業スタイルと充実したメニュー、そして浜本夫妻のおおらかな人柄にあります。

早朝5時30分に店を開け、近隣の豆腐店や鮮魚店へモーニングの出前へ向かうことから一日がスタート。水曜は朝10時で店を閉めますが、盆と正月休み以外の定休日はありません。

創業時から受け継がれているメニューも多数。食パンにマヨネーズとからしを薄く塗り、しっかり焼かれた卵、キュウリ、ハムを挟んだ「ミックスサンド」(650円)や、喫茶店のメニューとしては珍しいものの「ホワイト」各店で長く提供されてきた「あべ川」(400円)など、素朴で食べ飽きない味わいがそろいます。

「コーヒー」(ホット300円、アイス350円)には1号店創業まもなくから使い続ける神戸市灘区にある「萩原珈琲」の豆を使用。他にも、「きつねうどん」(550円)や「スパゲッティ」(550円)といった軽食、「トンカツ」(700円)などの定食と、食堂並みのメニュー展開で、いつ訪れても胃袋を満たしてくれます。

「80歳を過ぎて大変やろって言われるけど、自分の店やからしゃあないな。死ぬまでここにおらんと」と笑う邦夫さん。「ずっと一緒におって毎日けんかするけど、邪魔くさいから聞き流してる」とほほ笑む佳代子さん。

浜本さん夫妻との会話も楽しみながら、ほっこり落ち着く店内で自慢のコーヒーをお供に、神戸が誇る大衆喫茶の“生きた歴史”に触れてみては。

丸窓の横の席がレトロ喫茶ファンに人気。壁には先代から受け継いだ黒いメニュー板がかかります。
あうんの呼吸でやり取りをする浜本さん夫妻。
ホワイトの看板文字は1号店創業者がデザインしたもの。
「神戸ホワイト会」の年季の入った連絡網。「昔は『神戸ホワイト会』っていう店主の集まりがあって、みんな仲良くやってたな。ミルクコーヒーを『ミーコ』と言ってはやらせたのも、ホワイトなんやで」と邦夫さん。
昔ながらの愛らしい「クリームソーダ」(450円)を窓際の特等席で。
「からしがぴりっと利いておいしいねん」と常連客が教えてくれた「ミックスサンド」と水出しの「アイスコーヒー」。
喫茶 大安亭ホワイト
神戸市中央区八雲町4-6-10 ヴィラ中村1F
TEL:078-221-1455
営業時間:5:30~16:00(L.O.)〔水曜は10:00(L.O.)まで〕
定休日:なし
席数:テーブル12席
アクセス:阪急「春日野道」駅から徒歩約5分
マップ:https://share.google/nEGigzktDkTwkiiTy
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