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近代建築をめでる秋
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巨大な白クジラの胎内で祈る「カトリック宝塚教会」

建築家、村野藤吾が手がけた「カトリック宝塚教会」は、その特異な形状から「白鯨の聖堂」として親しまれています。見学後にほっと一息つけるカフェと共に紹介します。

村野藤吾が意匠に託したストーリー

阪急「宝塚南口」駅から徒歩約5分。線路沿いに天を突くような尖塔(せんとう)となだらかな曲線の屋根が見えてきます。1965(昭和40)年竣工の「カトリック宝塚教会」は、広島市の「世界平和記念聖堂」や、「ウェスティン都ホテル京都 数寄屋風別館 佳水園」、宝塚市庁舎など、昭和初期を代表するモダニズム建築から数寄屋建築まで幅広く手がけた建築家、村野藤吾が設計しました。

鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造、中2階建ての聖堂は、上から見ると二等辺三角形、横から見ると独創的な曲線美を描き、見る角度によって姿が異なります。村野の手記には、「大洋を漂いつづけていた白鯨がようやく安住の地をみつけ岸辺に打寄せられたとでも申しましょうか」と書かれています。

「神様の意向に逆らった預言者ヨナが大きな魚に飲み込まれ、その胎内で3日3晩過ごし回心した、という旧約聖書の物語とも関連があるのではないかと言われています。村野さんは89歳で洗礼を受けました。この聖堂をはじめいくつかのキリスト教建築を設計したことが受洗のきっかけになったと聞いています」と信徒の橋本成年さんは話します。

重厚な扉を開けて聖堂内に足を踏み入れると、厳かな静寂に包まれます。波打つような天井の美しい曲面は、職人が厚さ5mm、幅5cmのラワン材を1枚ずつ手作業で張り合わせたことで生み出され、音響効果にも優れています。正面の祭壇の奥が「天国へつながる」尖塔部分で、天井の板は尖塔内部の先端直下までつながっています。

左右非対称にデザインされた壁面も特徴的。線路側の東側の壁面は、騒音に配慮して開口部を上部の小窓のみに抑えている一方、西側の壁面には明かり取りのためのスリット状の窓を設けています。

聖堂内に整然と並ぶ椅子も村野がデザインしたもの。「座面は経年劣化で傷んだため、琉球畳の畳表の材料に使われる七島藺(しちとうい)を使用し、信徒たちが2011年から6年かけて張り替えました」と橋本さん。1脚ずつデザインや座り心地が異なり、いつも座るお気に入りを決めている人もいるそう。中2階へと続く階段は、宙に浮いたような踏み板と手びねりで作られた有機的なカーブの手すりという村野建築らしい意匠が見られます。

「クジラの胎内のような薄暗い聖堂ですが、年に2度、春分の日と秋分の日の16時ごろ、西側のスリット窓から差し込む一筋の夕日が、祭壇を真っすぐに照らし出すという劇的な光の演出が施されているんですよ」

ミサ中や行事の日を除き、教会事務所が開いていれば予約不要で見学できます。ホームページで予定表を確認の上、唯一無二の祈りの空間へ足を運んでみては。

正面から見た形状。銅板を張り合わせた屋根は経年変化で黒くなり、クジラの背中に近い色に。尖塔が尾に見えます。
聖堂内。天井の曲線がクジラの胎内を表しているよう。
イエス・キリスト像の背後の木の格子、手前のひざまずき台も村野のデザイン。
春分の日と秋分の日の日没寸前、西側のスリット窓から差し込む光が、祭壇に集まります。
外側の壁面は地面から生えているように見せるため、砂利をまくなどの工夫が施されています。
カトリック宝塚教会
宝塚市南口1-7-7
TEL:0797-72-4628
見学可能時間:9:00~17:00
※行事がある日は見学できないので、HPか電話で予定を確認してください。団体で見学する場合は、事前に事務所に連絡を。
定休日:月曜、祝休日
アクセス:阪急「宝塚南口」駅から徒歩約5分
HP:https://www.takarazuka.org/
マップ:https://goo.gl/maps/TvT8TxofEv65BaGW7
 

管理栄養士が作る彩り豊かなランチプレート

「カトリック宝塚教会」から北へ歩いて約5分。「zukekura DELI&CAFE」は、対岸に「宝塚大劇場」を望む武庫川のほとりにあります。一番人気は、営業時間中いつでも食べられる「お惣菜8種の季節ランチプレート」(2,145円)。管理栄養士の資格を持つ店主の野口祥子さんは「体に優しくてほっとする、実家のお母さんの手料理を目指しています」と話します。

メニューは月替わりで、取材時は目にも鮮やかな「鰆のグリル梅肉ソース」「手仕込み自家製ローストビーフ」「漬蔵の鶏かつ鰹ソース」「鶏ハムと大根のジェノベーゼソース」「エスニック仕立ての焼き茄子」など。肉や野菜に季節の野菜をふんだんに取り入れています。「昆布とカツオ、いりこ節から取っただしや麹(こうじ)を使い、塩分を抑えながらうまみや甘み、こくを出すことを心がけています。料理に合わせたソースも全て自家製です」と野口さん。他にもケーキなどのデザートや、“ちょい飲み”のアテにぴったりなデリプレート、季節のオリジナルドリンクやクラフトビールといったドリンクも豊富にそろいます。

入店時間を気にせずおいしいランチやデザートが味わえるカフェは、まち歩きや建物巡りを心ゆくまで楽しみたい人にとっても、頼もしい存在です。

「お惣菜8種の季節ランチプレート」。五ツ星お米マイスターが厳選した月替わり白米、炊き込みご飯、玄米ご飯、自家製フォカッチャから選べます。写真のご飯は鳥取県産「きぬむすめ」。
武庫川と「宝塚大劇場」を眺める絶好のロケーション。店内外の緑が一体感を生み出しています。
コロッケや唐揚げ、肉豆腐、筑前煮などの総菜はもちろん、シフォンケーキやバスクチーズケーキ、ガトーショコラといったケーキ類もテイクアウトできます。
ヅケクラ デリアンドカフェ
宝塚市湯本町2-5 スイングイン宝塚1F
TEL:0797-78-8710
営業時間:11:00~19:00(L.O.18:00)
席数:カウンター4席、テーブル24席、
定休日:日曜(土曜、月曜が祝休日の場合は営業)
アクセス:阪急「宝塚南口」駅から徒歩すぐ
HP:https://zukekuradelicafe.owst.jp/
マップ:https://maps.app.goo.gl/GqmKmf4qXBDnTsVV7
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