個性光る抹茶スイーツ
茶の湯にかかせない抹茶は、今や料理はもちろん、スイーツにもさまざまな形で取り入れられています。個性豊かな和洋おすすめの抹茶スイーツを召し上がれ。
石臼によるひきたてが香る抹茶わらび餅
店内にはほのかに抹茶の香りが漂い、電動石臼がゆっくりと抹茶をひく重低音が響きます。神戸の奥座敷、有馬の老舗旅館「中の坊 瑞苑」は、6年前の改修の際、カフェ「猪名野茶房」を開業。最高位十段の茶鑑定士、神戸・元町の老舗茶屋「放香堂」の酢田恭行さんがセレクトする茶葉で、おいしいお茶とスイーツを提供しています。
一番人気のスイーツは、「抹茶入本生わらび餅」(1,530円)。京都・宇治をはじめその時々のおすすめの抹茶を南九州産本わらび粉、香川県産和三盆と共に水に溶かして火にかけ、とろみが出るまで丁寧に練り上げます。「気温や湿度によってわらび粉の固まり具合が異なり一瞬で弾力が変わるため、ちょうど良いタイミングで火を止めるのにこつが要ります」と店長の西田智美さんは話します。
火から下ろすとすぐさま一口サイズに取り分け、氷水へ。「滑らかでこしのある独特の食感に、わらび餅の概念が覆ると思うはず。ぜひ一度お試しいただきたいです」と西田さん。
春本番、ひんやり喉越しの良い甘味がおいしく感じられる季節がやって来ました。
神戸市北区有馬町808
TEL:078-904-0785
営業時間:11:00~17:30(L.O.17:00)
定休日:水曜
席数:テーブル32席(うちテラス6席)
アクセス:神戸電鉄「有馬温泉」駅から徒歩約5分
癒やしの場でいただくふわふわの抹茶ぜんざい
畳の上で足を崩してのんびりいただける〝ほっこり系″の抹茶スイーツも見逃せません。
神戸・花隈にある「日本茶カフェ やわやわ」は、旅先でさまざまなお茶に出合ううちにその魅力に引き込まれた中尾英樹さん、直美さん夫妻が、「日本茶を肩肘張らず味わっていただける場を」と日本茶アドバイザーの資格を取得し、4年前に自宅2階にオープンしました。
玄関で靴を脱いで階段を上がると、小上がりの座敷が広がります。レトロな調度品に囲まれゆるりとしたひと時にぴったりスイーツが、飲み物付きの「抹茶みるくぜんざい」(1,200円~)。京都・宇治産の抹茶を使ってきめ細かに泡立てられた抹茶ラテは、口に運ぶとすっと溶ける軽やかさが魅力。自家製の粒あんと、一口サイズの焼き餅が入っています。
ドリンクは緑茶から和紅茶まで10種以上あり、緑茶を選ぶとお湯の温度など入れ方を変えて3煎提供されます。「ここにいる時だけでも忙しい日常を忘れてもらえたら」と話す中尾夫妻。ほっと一息つける癒やしの空間でいただく特製ぜんざいは、日々の疲れもふんわり優しく包み込んでくれます。
神戸市中央区下山手通8-7-4
TEL:非公開
営業時間:9:00~18:00(L.O.17:00、祝休日は11:00~)
定休日:月曜、日曜
席数:テーブル3席、座敷7席
アクセス:阪神「西元町」駅または阪急「花隈」駅から徒歩すぐ
味の変化やお茶とのペアリングも楽しい抹茶テリーヌ
抹茶は、洋菓子の生地やクリームなどにも幅広く用いられています。抹茶の魅力を存分に楽しめる洋風スイーツが、神戸・乙仲通りに3年前に開業した「Chanomi Stand」が手がける2種の抹茶を使った「ダブル抹茶ショコラテリーヌ」(770円)。生地は、ホワイトチョコレートのミルキーな甘さと鹿児島産「おくみどり」の渋みが絶妙なバランス。振りかけた京都・宇治産「杣乃陽」の上品な風味が味わいに広がりをもたらします。ほろ苦いユズのピールのトッピングのほか、添えられた塩昆布、カシューナッツ、マンゴーやチェリーといったドライフルーツを合間に挟むことで、また違った食味が現れます。
「テリーヌが濃厚なので、すっきりとした水出し緑茶と合わせるのがおすすめです」と話すのは、オーナーの植村雅敏さん。自然農法で栽培する日本各地の茶園に足を運び、ブランドにとらわれず自身がおいしいと思える茶葉を直接買い付け、提供しています。
同じスイーツでも合わせるドリンクによってテイストが少しずつ変わるので、その時々の気分でいろいろなお茶とのペアリングを試してみるのも一興です。
神戸市中央区栄町通1-1-9
TEL:090-1905-3996
営業時間:11:00~20:00、21:00~23:00(L.O.22:00)
定休日:月曜
席数:テーブル21席
アクセス:地下鉄「旧居留地・大丸前」駅から徒歩すぐ