ご利益が期待できるとっておきの神社

家内安全や学問成就など、神社には祭られている神様によって多様なご利益があります。縁を切ったり結んだり。今の悩みを解決してくれそうなお宮に出かけてみませんか。

あらゆる悪縁を断ち切ってくれる歴史ある古社(敏馬神社)

神戸市灘区の浜手に立つ「敏馬神社」は、201(神功皇后摂政元)年の創建と伝わる長い歴史を誇り、縁切りの神社としても知られています。1945(昭和20)年の神戸大空襲で史料が焼失し確かなことは分かりませんが、創建当初は航海の安全を守る美奴売神(みぬめのかみ)を祭っていたのが、いつの頃からか厄を払ってくれる素戔嗚尊(すさのおのみこと)が主祭神に。さらに奥の宮には、夫婦でありながら激しい争いの逸話が残る伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)が迎えられました。

人々が縁切りのために訪れるようになったのは明治時代。「周辺は料亭や芝居小屋などが立ち並ぶ繁華街で、男女の色恋沙汰が多かったと思われます。それが関係しているのかもしれません」と宮司の花木克己さん。やがて、「この神社の前を通れば縁切りの力で離縁される」と言われるようになり、婚礼家具を積んだ車も避けて通るようになったのだとか。「今では男女に限らず人間関係全般はもちろん、病気やお酒、ギャンブルなど、さまざまなものとの決別を願う場所となっています」と花木さん。祈願の手順に特に決まりはありませんが、まずは本殿で素戔嗚尊にお参りをしてから、奥の宮で2神に願い事を伝えるのがいいそうです。

同神社には、願いを人に知られることなく奉納できるユニークな絵馬もあります。縁を切りたいものを書いた部分がくり抜けるようになっており、そこだけを鍵付きの箱に収め、残りを絵馬堂につるします。「お参りすることで気持ちを切り替え、前に進んでいただけたら」と花木さん。長い歴史を誇る神社の神々の力を借りれば、つらい日々にも希望の光が差し込んでくるのではないでしょうか。

高さ30㎝ほどの小さな「奥の宮」。
手前の左が糸切りばさみが描かれた「縁切りのお守り」(700円)、右が「悪縁解除の絵馬」(800円)。
「悩みが解決したとお礼参りに来られる方も多数おられます」と花木さん。
敏馬神社
神戸市灘区岩屋中町4-1-8
TEL:078-861-2091
アクセス:阪神「岩屋」駅から徒歩約5分
マップ:https://maps.app.goo.gl/qdZMFdL3L1zvZzDX9

縁結びの2神を祭る良縁祈願のよりどころ(氷室神社)

悪縁を切ってすっきりした後には、しっかり良縁を結びましょう。神戸市兵庫区にある「氷室神社」は創建時期は定かではありませんが、約1,600年前の仁徳天皇の時代には境内にある氷室の氷を天皇に献上していたと伝わる権威ある神社。あらゆる縁を結ぶとされる大國主大神と、「恋愛べんてん」と呼ばれ兵庫七弁天の一つでもある市杵島姫命という縁結びにまつわる2神がそろい、その強力なご利益が評判を集めています。

同神社には、ユニークな願掛けがあります。かつてこの辺りを拠点にしていた平清盛の甥(おい)に当たる平通盛が、一目ぼれした相手に3年間恋文を送って夫婦になれたという逸話が残っていることにちなんだ「愛の手紙」(1通200円)です。

まずは本殿でお参りし、専用の用紙に縁を結びたいものについて自由に書きつづります。それを本殿前に設置された「愛のポスト」へ投函、再び本殿で祈願して完了。後日おたき上げをして神々に願いを届けてくれます。「男女の縁だけでなく、就職活動がうまくいくようにといった仕事の縁を願う方もおられます」と宮司の小林栄一さん。

社務所にはハート形をした愛らしい「縁結びの絵馬」(800円)や、デザインや色違いで8種から選べる「恋愛成就のお守り」(各800円)、恋の歌と恋愛運が記された「恋みくじ」(100円)など多彩な授与品もあります。

週末を中心に、遠方からも若い女性など多くの人が足を運ぶ良縁祈願のよりどころ。今日もまた誰かの願いが実を結び、新たな物語が始まるかもしれません。

本殿前に木製の小さな「愛のポスト」が置かれています。
四つ葉のクローバーが描かれ、愛らしいハート形をした絵馬。
社務所には縁結びのお守りがずらりと並びます。
氷室神社
神戸市兵庫区氷室町2-15-1
TEL:078-531-2833
アクセス:神戸市バス「夢野町3丁目」下車徒歩約5分
マップ:https://maps.app.goo.gl/JdTgyqppCATm7imb8

日本唯一の数学と珠算の神社(算学神社)

西宮市には、日本で唯一の数学に関する神社「算学神社」があります。室町時代には既に存在していたと伝わる熊野神社。境内には1972(昭和47)年、日本の数学「和算」の祖といわれる算学者、毛利重能を顕彰するため、数学研究者や珠算関係者、全国の商工関係などの団体、地域の人々によって顕彰碑が建立され、翌年には多くの崇敬者の要望で「算学神社」も創建されました。

毛利重能は、現JR甲子園口辺りの出身。豊臣秀吉に仕え、明に留学後、日本最古の数学書『割算書』を発刊。私塾を開き、日本独自の数学「和算」を民衆へと広めました。「毛利先生が実用数学の和算を教えられた私塾は後の寺子屋であり、社会教育の端緒となりました。優秀な弟子が多く、孫弟子には和算の大成者・関孝和がいます」と宮司の宮崎浩史さん。神社前には歴史上“最後の和算家”・福田理軒ゆかりの「和算顕彰碑」も建てられています。

そろばんの普及にも努めた毛利重能の顕彰碑前では毎年10月第1日曜に、「そろばん祭」を全国珠算教育連盟と共催。役目を終えたそろばんの供養や、世界に一つだけの「そろばん神輿(みこし)」の展示が行われます。「お正月にもそろばん神輿を展示していますのでご覧いただけたら」と宮崎さん。

全国で類を見ない神社だけあって、数学の研究者や理数系の大学・高校を目指す受験生などが日本各地から参拝に訪れるといいます。理系離れが懸念される昨今、数字に苦手意識を持つ人も、ご利益にあやかってみてはいかがでしょうか。

数学教育の関係者や地元の有志らによって建てられた算学神社。
「入試合格絵馬」「学業成就守」「合格鉛筆」3点の「合格セット」(1,000円)
屋根も含め多くのそろばんで装飾されたユニークなそろばんみこし。
算学神社
西宮市熊野町3-26 熊野神社内
TEL:0798-67-8141
アクセス:JR「甲子園口」駅から徒歩約10分
マップ:https://maps.app.goo.gl/Kivf4exvEf5JFN4j6
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