こだわりの日本酒を求めて
灘五郷の西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷が点在する神戸・阪神間には、貴重な限定酒などこだわりの品々を扱う酒屋さんが数多くあります。新酒が次々に出荷されるこの時季に、お気に入りの一本を探してみませんか。
女性や日本酒初心者も気軽に入れる一軒
2022(令和4)年7月に三宮にオープンした「浅野日本酒店 SANNOMIYA」。日本酒を愛してやまない店主の浅野洋平さんが、女性や日本酒初心者も気軽に親しめる場をつくってファンを増やしたいと大阪に開業した店の4号店です。
およそ100種ある商品は全て米本来の風味が感じられる「純米酒」。さらに、さまざまな銘柄を気軽に買えるよう、棚に並ぶのは四合瓶に限定しています。
「初心者から玄人まで幅広く楽しめる」と根強い人気を誇るのが、御影郷の泉酒造株式会社が醸す「仙介(せんすけ)」。阪神・淡路大震災で蔵が被災し、紆余曲折を経て2007(平成19)年に復活しました。「苦境を乗り越えた蔵を応援したいという思いはもちろん、全国の日本酒ファンによる人気投票でも、兵庫県では上位に入る実力派の酒です。癖がなくて日本酒を飲みなれていない方でも親しみやすいですよ」と浅野さん。
また、一部の商品を除いて無料で試飲できるのも同店の魅力の一つ。「酒米や製法、精米歩合などを聞いても想像がつきにくい方も多いはず。実際に味わってもらうのが一番だと思っています」
自分の舌を頼りにいろいろ試すうちに、運命の一本に出合えるかもしれません。
神戸市中央区北長狭通2-5-5
TEL:078-599-6445
営業時間:12:00~23:00
定休日:なし
アクセス:JR・阪神「元町」駅から徒歩すぐ
HP:http://asano-nihonshuten.co.jp
宮水の聖地から兵庫の地酒の魅力をPR
西宮郷の一角で1964(昭和39)年から営業を続ける「ユアサ酒店」。近隣の工場に勤める人のための立ち飲み屋として人気を集めていましたが13年前、3代目店主の横山貞尚さんに代替わりしたのを機に、「地元の酒の良さをもっとお客さんに伝えたい」と地酒に特化したラインアップに。県内の酒屋の有志による地酒研究会にも入り、知識を深めました。
とりわけ目を引くのが、ミネラルとカルシウムが豊富で酒造りに適した、この地域特有の地下水「宮水」を使った地域限定酒、その名も「宮水の郷」。近くに蔵を構える白鷹株式会社が、西宮市内の特約店13店舗だけに卸している貴重な銘柄です。大吟醸純米酒や特別純米樽酒など数種ある中、横山さんのおすすめは「特別純米 無濾過生原酒」。「荒々しく飲み応えがあり、パンチのある肉料理に合わせても負けない力強さが特長です」
県内各地の酒も幅広く取り扱い、80種ほどのうち約9割が県内産。丹波篠山市にある「集落丸山」の無農薬米で造った純米酒「まるの輪」など、量販店ではなかなか手に入らない銘柄に出合えることも。「県内にはまだあまり知られていない酒もあるので、それらも販売していけたら」と横山さん。兵庫全域を視野に、宮水の聖地から地酒の魅力を発信し続けます。
西宮市東町2-1-29
TEL:0798-26-0971
営業時間:10:00~19:00
定休日:日曜
アクセス:阪神バス「交通公園前」下車徒歩約5分
オリジナルプログラムで自分の味覚に合う一本を
魚崎郷で江戸時代から酒屋を営む老舗「濱田屋」では、3年前からホームページに戦国武将に例えて酒の嗜好(しこう)を9種に分類するオリジナルプログラム「戦国 酒武将診断」を公開しています。食の好みに関する質問に答えると、自分の好みの日本酒のタイプと商品を教えてくれます。
診断の裏付けは長年の接客経験によるもので、アルコール度数や独自に測定した糖度、pH値などで商品を分類しています。
店内の商品にも全てに糖度とpH値を表示するとともに、香りや味わいを平易な表現で伝え、一目でどんなお酒かが分かるようにしています。「人によっておいしいと思える酒は違うので、その方に合うものを見つけるお手伝いができれば」と店主の濱田栄司さんは話します。
10年ほど前からは熟成酒の貯蔵も始め、現在その数は100種ほどに。そのうちの一本で2004(平成16)年から熟成させてきた、御影郷の株式会社安福又四郎商店が醸す「大国政宗 原酒」は、年月を経て琥珀(こはく)色を帯び、木のような香りをまとって濃厚な味わいが特徴。「熟成により全く違う香りや味わいに変化するものもあり面白いですよ」。
特徴を記したカードを参考に、好みに合いそうなものがあれば、ぜひお試しを。
神戸市東灘区魚崎南町4-15-13
TEL:078-441-1101
営業時間:10:00~21:00(祝休日は13:00~19:00)
定休日:日曜
アクセス:阪神「魚崎」駅から徒歩約5分
HP: https://www.jizakeya.co.jp/