つりしのぶ園のつりしのぶ
土の玉にシダ植物の「シノブ」を植え付けた「つりしのぶ」。江戸時代から軒先などにつるして風情を楽しんできました。専門に生産する農園は今では全国に2カ所のみで、その一つが宝塚市にある「つりしのぶ園」です。緑鮮やかな夏の風物詩を飾り、天然の涼に癒やされませんか。
暮らしの中で四季を感じる
大阪で園芸関係の仕事をしていた園主の市原誠さんは、約50年前に花市場でつりしのぶが作られる様子を見て興味を持ち、宝塚に拠点を移すと本格的に生産に取り組むようになりました。5年~6年かけて育てたシノブ苗を土玉に植え付け、さらに1年~3年育成してから出荷しています。
トラブルが発生するたびに植物の専門家に調べてもらい、似た事例をヒントに対処。「教えてくれる人がいないため、試行錯誤の繰り返しでした」と振り返ります。美しい姿形を保つための季節に応じた手入れ方法は、長年の経験を基に編み出したもの。今では常時7,000~8,000個を栽培しています。
つりしのぶには2種類あり、四季折々に表情を変える「日本産つりしのぶ」は、春にぜんまい状の芽を出し、夏にかけて葉と根が成長、秋には少しずつ紅葉し、冬になると落葉します。熱帯産の常緑種を使用した「常緑つりしのぶ」は一年中青々と葉を茂らせ、暮らしに潤いを与えてくれます。10年ほど前からは生活スタイルの変化に合わせ、屋内用に器に置くタイプや専用スタンドにつり下げるタイプもラインアップに加えました。「見た目の違いはほとんどありませんので、お好みで選んでください」
自分だけのものを大切に育てる楽しさも
どちらの種類も普段のお手入れは簡単。土が乾燥したら水をやり、10日に1度を目安に肥料を与えます。「強い日差しに弱いため、シノブが本来生息するような直射日光が当たらない環境がベスト。ただ、屋内の場合は少し日光が差し込む場所に置いてあげましょう」。大切に手入れすると10年~20年観賞することも可能だそうです。
オンラインショップで完成品を購入することもできますが、おすすめは自分で作るところから始めること。「土の玉に苗を植え込む作業は、簡単なものなら1時間ほどでできます。愛着が湧き、手入れのしがいもあります」と話す市原さんは、「つりしのぶ作り講習会」にも力を入れています。年間50回ほど出張イベントを行い、毎月第3日曜には同園でも開催。自分だけのつりしのぶを作り、大切に育てながら涼を感じてみませんか。
宝塚市境野字鳶ヶ巣30
TEL:0797-91-0223
営業時間:8:00~17:00
定休日:なし
アクセス:阪急バス「延命寺」停留所から徒歩約5分
HP:http://turishinobu.com/