nutsの日傘
尼崎市在住の藤村絵理香さんは、「nuts」のブランド名で海外のビンテージ生地などを使用した一点ものの日傘を製造・販売しています。大ぶりのポンポンやフリンジが付いたカラフルでメルヘンチックなアイテムを手に、夏のお出かけを楽しみましょう。
持つだけで楽しい気分になる1本
藤村さんは育児で心身共に疲れ切っていた15年ほど前に、着られなくなった子ども服をフリーマーケットに出品するようになりました。趣味で作った手縫いのポーチも並べてみたところ好評で、量産することに。材料を調達したり、裁縫を専門的に学んだりするうちに前向きな気持ちになれ、体調も戻っていきました。
「同じような悩みを抱える女性たちが働きながら元気を回復するために、複数人で分担して作れるものはないか考えました」と藤村さん。以前にハンドメイド作家から購入した日傘が評判だったことに需要を感じ、日傘に決めたといいます。
まずは傘の構造を知るために200本以上の傘を解体しては組み立てる作業を2、3年繰り返し、2015(平成27)年から本格的に製造・販売を開始。家にこもりがちな人や病気を患っている人などを対象にスタッフを集め、現在は30代から50代の24人で制作しています。デザインは藤村さんが全て担当、誰が差してもかわいく、持っているだけで気分が上がることを大切にしているそうです。周りの人との会話が生まれるきっかけにとの狙いもあり、インパクトのある動物柄や花柄のビンテージ生地、民族衣装「アオザイ」に使われる布で作った日傘など、バラエティー豊かなアイテムを送り出しています。
自由な発想で厳選した素材
1本の日傘には縦1.5m、横2mほどの生地が必要で、三角形に裁断した生地にUVカット機能のある裏地を縫い合わせます。生地や装飾品は華やかさとオリジナリティーを重視して選んでいるそう。米国在住のバイヤーから米国やヨーロッパのビンテージ生地を仕入れるほか、自らアジア圏に買い付けに行くことも。ブラウス、エプロン、テーブルクロスなども購入し、ハンカチサイズのものはパッチワークのようにつなぎ合わせて1枚の布にします。「服飾を専攻していなかったからこそ、自由な発想で他にはない商品を発信できます」
かわいらしさを求めて取り入れた毛糸のポンポンは、直径4㎝ほどの存在感があるものを海外の雑貨店から購入。2本のひもでつり下げており、風や動きに合わせて軽やかに揺れます。ぬくもりを感じられるようハンドル、中棒、露先は木製です。
「無視できない派手さがあり、思わずどこで買ったか聞きたくなるようなものを作っていきたい。持つことで明るい気持ちになったり、自信が持てたりすればいいなと思います」と藤村さん。華やかなハンドメイドの日傘と共にポジティブな気持ちを届けます。