ブックバーでほろ酔い読書
暑さで日中外出する気力が湧かない時は、日が傾いてからブックバーに出かけてみませんか。グラスを傾けながらしっとり読書が楽しめる店を紹介します。
本を介して知らない人とも会話が弾む
大丸神戸店の北、小さなビルの細い階段を上り扉を開けると、そこはブックバー「書庫バー」。元はデザイン会社の倉庫で、デザインやアート系の本が保管されていたのを10年前に改装し、オープンしました。「小説やお客さまに寄贈いただいた漫画なども含めると蔵書は1,000冊以上あり、貸し出しもしています」と話すのは、店長の新田谷ももさん。自身も学生の時にお客で通い始め、2年前から店長として働いています。
メニューはドリンクだけですが、宵の口から夜が更けるまで、学生、会社員、デザイナー、アーティストといった多様な職種の男女が立ち寄り、一人で読書にふけったり、スタッフや周りとの会話を楽しんだりと、思い思いの時間を過ごしています。
本にまつわるイベントもあり、毎月第3火曜の「古書バー」では、西洋の古書の修復に携わりソムリエの資格も持つ藤井かおりさんが、特定の国や地域のワインとともに、修復した珍しい本を紹介します。「本の修復方法や構造など、興味深い話が聞けます」と新田谷さん。
また、不定期で行われているのが、お客による本のプレゼン会「本プレ」。毎回設定したテーマに合わせ、各自イチオシの本を持ち寄って発表するというもので、聞くだけの参加も可能です。「例えば『泡』というテーマ一つでも、シャボンの泡だったりビールだったり、人によってさまざまな捉え方ができるので面白いですよ」
通常営業時には、初めて会ったお客同士に本を介して会話が生まれ、親しくなっていくことも多いそう。思い切って隣の人に声をかけ、普段自分では読まないジャンルの本を教えてもらい、新しい世界を発掘するのも一興です。
神戸市中央区三宮町3-1-16 三星ビル2F北室
TEL:078-331-2633
営業時間:17:00~23:30(L.O.23:00)
定休日:水曜
席数:カウンター9席
アクセス:JR・阪神「元町」駅徒歩すぐ
Instagram:https://www.instagram.com/shokobarkobe/
絵本の力を借りて心を解きほぐす
「絵本は子どものものと思われがちですが、大人にとっても悩みを解決する糸口になったり、癒やしになったりします」と話すのは、神戸・六甲道で絵本専門店と絵本バー「えほんのトコロ」を営む山田圭吾さん、千夏さん夫妻。
約5年前、東京で暮らしていた時に絵本に興味を持ち、絵本専門店を巡って読み聞かせなどのイベントに参加し、その魅力のとりこに。神戸に同様の店がなかったことから「東京の子どもたちと同じような経験ができる場を」と3年前に店を立ち上げました。
店は昼間は親子客でにぎわいますが、ひとたび日が暮れると大人向けの絵本バーに様変わり。お酒などのドリンク、スパイスカレーやおつまみを味わいながら、絵本を楽しむことができます。蔵書は名作から神戸にまつわるご当地ものまで約2,000冊あり、100冊ほどを店頭に並べるとともに、毎月「絵本作家夫婦のコンビ作品」「穴が登場する作品」などテーマを設け、それに沿った作品を展示、販売しています。「誰もが知っているような人気本は大型書店に任せ、目立つ存在ではないが面白いと思ったものを置いています」と千夏さん。
店内には「秘密の部屋」という小部屋が存在し、ホームページから悩みや読みたい絵本などを記入して予約すると、小部屋へと案内され、要望に合わせて千夏さんがセレクトした6冊を、他人の目を気にせず読むことができます。
「文字だけの本と違って絵から読み取る要素が多く、その時の読み手の心境によってさまざまな解釈ができます。大人にももっと絵本を手に取ってもらえたら」
ちょっと心が疲れた時、立ち止まって自分と向き合いたい時など、心のメンテナンスがてら立ち寄ってみては。
神戸市灘区永手町3-3-8
TEL:非公開
営業時間:カフェ10:00~17:30、バー19:00~22:30(L.O.22:00)
営業日:金曜~日曜(バーは金曜、土曜のみ)
席数:カウンター3席、テーブル5席
アクセス:JR「六甲道」駅から徒歩すぐ
HP:https://www.ehonnotokoro.com/