宝塚の特産を生かした化粧品
宝塚市にはダリアをはじめ地元の特産を活用した〝ご当地化粧品″があります。製品に込められた作り手のメッセージもくみ取りながら、美肌づくりに役立ててみませんか。
ダリアの球根を用いて人々をつなぎ故郷に活気を
宝塚市北部、緑豊かな西谷地区上佐曽利は、国内有数のダリアの球根の生産地。ダリア農家に生まれ育った元タカラジェンヌの梓晴輝さんは8年前、球根を活用した化粧品ブランド「ダリアジェンヌ」を立ち上げました。
宝塚歌劇団退団後、東京で介護福祉士として働き、結婚を機に帰郷。ふるさとの変わり果てた姿に衝撃を受けたといいます。「高齢化、過疎化が深刻で。何とか地域に活気を取り戻したいと思いました」。考えた末、ダリアの球根を生かした化粧品作りを決意。廃棄される球根を集め、試行錯誤の末、製品化に成功しました。
商品のラインアップは、「しっとり」「なめらか」「さっぱり」と3種の洗い心地が選べる化粧石鹸(せっけん)、顔や全身までの保湿はもちろん寝ぐせ直しにも幅広く使える保湿クリーム、さらには保湿洗顔料も。全て無添加、無香料、無着色料で、老若男女問わず安心して利用できます。「子どもの頃、大好きだった祖母がお風呂上りに慈しむようにクリームを塗ってくれた温かな時間が忘れられなくて。家族みんなが使え、人と人をつなぐ商品にしたいと考えました」と梓さん。
大切な人へのプレゼントにもできるよう、保湿クリームのふたや石鹸にはダリアの花の意匠があしらわれています。「プレゼントを贈ることは思いを伝えること。ダリアジェンヌが人と人をつなぎ、さらに西谷のダリアを皆さんに知ってもらう役目を果たせたらうれしいです」と大輪のダリアのような華やかな笑顔で話す梓さん。その輝きを支えるのは、揺るぎない故郷への愛とダリアジェンヌによる日々のお手入れのたまものに違いありません。
半年前に第3子を出産し、子育てをしながら事業を展開するエネルギッシュな梓さん。
酒かすの力で肌にも環境にも優しく
宝塚市でヘアサロンとネイルサロン計7店舗を展開する株式会社Mars international。代表の角昌司さんが立ち上げたブランド「自然をちからに」の化粧品は、肌にも環境にも優しい〝優れもの″として、注目を集めています。
宝塚市で生まれ育った角さんは6年前、SDGsについて学ぶ機会があり、美容の面から地域に根差したSDGsの取り組みができないかと思いを巡らせます。たどり着いたのが、市北部の西谷地区産山田錦で醸す大吟醸酒「乙女の舞」の酒かすを活用した化粧品事業でした。
製造元の小西酒造から酒かすを買い取り、製法を独学し、化粧品の素となる酒かすパウダーを開発。知人が手がける米ぬか化粧品と融合させ2017(平成29)年、メイク落としと洗顔が一度にできるオールインワンクレンジングを発売しました。「酒かすにより保湿や美白効果が期待できます。米ぬかに含まれる微生物が使用した水を分解してくれるので、環境にも優しい商品です」と角さん。
さらに、酒かすをパウダーにする際に産出されるエキスも、化粧水や保湿クリーム、石鹸の原料として活用。本来は廃棄されるはずだった酒かすを余すことなく使い切っています。
商品ラベルの原材料欄に記載されているのは、数品目程度。「酒かすそのものの力を生かし、極力余分なものは加えていません。もちろん無添加です」と胸を張ります。地元の資源を有効に使った自然由来のシンプルな化粧品で、SDGsに沿った地域循環型社会の実現と人々の美肌づくりに貢献しています。
「現在のユーザーは40、50代の女性が中心。今後は男性や若者向けの商品も考えていきたい」と話す角さん。
サロンでは酒粕の化粧品のほか、同ブランドで手がける地元のクスノキから生まれた消臭・防虫アイテムも販売しています。