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えびす様の福を届ける「とおかし」

福の神「えびす様」を祭るえびす宮総本社の西宮神社。1月10日の「十日えびす」が有名ですが、毎月10日にも特別な祭事があることをご存じでしょうか。多彩な和洋菓子店が集まる「お菓子のまち・西宮」ならではの取り組みを紹介します。

1月だけじゃない!毎月10日のお楽しみ

西宮神社のえびす様は神戸・和田岬の沖で引き揚げられた御神像を祭ったことが起源とされ、1月10日前後の3日間で行われる「十日えびす」には、商売繁盛や開運招福を祈願して毎年100万を超える参拝者が訪れます。また、同神社では1月を除く毎月10日に国の繁栄などを願う「旬祭」を実施。祭典終了後、神前にささげた和菓子を「とおかし」と名付け、参列者に配布しています。

「京都の北野天満宮で25日が天神様の縁日として知られているように、毎月10日をえびす様の縁日として多くの人に訪れてもらいたいと、記念品をお渡しするようになりました」と話すのは、権宮司の吉井良英さん。当初はしおりや、花が描かれた鈴といった品物を用意していましたが、「お菓子のまち・西宮」にちなみ、2011(平成23)年から和菓子に変えたのだそうです。

本殿で行われる神事の様子。三連春日造(さんれんかすがづくり)という珍しい構造の屋根で、向かって右側の第一殿にえびす大神(えびす様)が祭られています。
10時から始まる約1時間の祭典の後、「とおかし」やお神酒の入った杯などが「よくお参りくださいました」という声かけとともに手渡されます。
旬祭の参列者に配布される「とおかし」の引換券と境内の茶店「おかめ茶屋」のお茶券。※先着順。配布数は月によって異なり、なくなり次第終了

市内11店舗がオリジナルの和菓子を開発

2017年からは、西宮の和菓子をPRする「西宮和菓子ブランド発信事業実行委員会」の協力の下、同会に参加する市内11店舗が各店オリジナルの「とおかし」を制作。そのうちの一種が毎月10日の旬祭で配られ、境内の「おかめ茶屋」で購入もできます。さらに、参加店舗ではその店の「とおかし」を10日限定で販売しているため、市内の和菓子店を巡ってお目当ての「とおかし」を買い求めるのも一興です。

鯛や笹、宝船など、「とおかし」にはえびす様にちなんだモチーフがたくさん。「旬祭でお渡しするのにふさわしいものをと、各店がアイデアを出し合って開発しました」と、2022(令和4)年から同会委員長を務める「あおやま菓匠 香櫨園店」店主、青山浩志さんは話します。「『とおかし』をきっかけに西宮の和菓子を知ってもらい、えびす様の縁日とともに『毎月10日はとおかしの日』と浸透していけば」と力を込めます。

祭りの後に神前にささげた供物をいただくことを「直会(なおらい)」といい、神様と食べ物を共有することでご加護を受けられると考えられています。月に一度のお参りと福がいっぱい詰まった「とおかし」で、えびす様とのご縁を結びましょう。

記者発表会で各店の個性が光る「とおかし」をお披露目(写真は2019年の様子)。
各店の「とおかし」にはおそろいの掛け紙を使用。2022年度の「あおやま菓匠 香櫨園店」の「とおかし」は「えびす大福」(左)で、えびす様の福耳をイメージした柔らかな粟餅とよもぎ餅の大福。「君栄堂本舗」の「戎福栗」は、優しい甘さのおまんじゅうの中にこし餡、白餡に包まれた和栗が入ります。(各1箱700円)
「とおかし」販売店は、西宮神社の表大門(通称「赤門」)をイメージした朱色のタペストリーが目印。

えびす宮総本社 西宮神社
西宮市社家町1-17
TEL:0798-33-0321
アクセス:阪神「西宮」駅から徒歩約5分
西宮和菓子ブランド発信事業実行委員会
TEL:0798-33-1131(西宮商工会議所)
HP:https://n-cci.or.jp/okashi/wagashi/
Instagram:https://www.instagram.com/tookashi_nishinomiya/

「えびす月」の1月には洋菓子を

西宮の洋菓子店が参加する「西宮洋菓子園遊会」は十日えびすが催される1月を「えびす月」と称し、参加店舗がそれぞれえびす様にちなんだ洋菓子を詰め合わせた「にしのみや洋菓子園遊缶」の販売を2023年からスタート。西宮神社とお菓子店の「甘い関係」はますます盛り上がりそうです。

「福笹」をデザインしたオリジナル缶に各店が洋菓子を詰め合わせた「にしのみや洋菓子園遊缶」。写真は「パティスリー アトリエ タケ」。
無印良品阪急西宮ガーデンズ店で販売した11店舗の園遊缶。

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