古着でつながる支援と交流の輪
神戸で最も山と海が近いとされるまち、塩屋。近年は移り住む人が増え、おしゃれなカフェや雑貨店なども次々と開店しています。
まちの玄関口、JR「塩屋」駅、山陽「山陽塩屋」駅から西へ徒歩すぐの細い路地に2021(令和3)年5月オープンした「シオヤコレクション」は、古着販売店。寄付によって集まった服やアクセサリー、バッグなどを販売し、売り上げの一部を地元の福祉活動団体に募金するチャリティーショップです。
古着の寄付&購入が社会貢献に
間口3間ほどのこぢんまりとしたたたずまいながら、店内にはシンプルな普段着からコーディネートの主役になる存在感のあるおしゃれ着まで、いずれも寄付されたものとは思えないほど魅力的な商品がずらりと並びます。「もう着ることはないけれど、捨てるには忍びない…そういうお洋服を次の人につないでほしい、と持ち寄ってくださる方は結構多いんです」と、店主の澤井まりさんは話します。
寄付先は、里親や里親家庭で育つ子ども、社会的養護のケアを受けた経験を持つ若者のサポートを行うNPO法人「Giving Tree」と、知的障害のある人を含む50人ほどの音楽家たちの集団「音遊びの会」。ともに神戸を拠点とする団体で、売り上げの10~15%を寄付しているそうです。
人と人との距離が近い塩屋で開業を決意
10年ほど前に知人の紹介で京都から塩屋に移り住み、人と人との距離が近いまちの魅力に「ドはまりした」という澤井さん。移住後、長田区にある古着販売によるチャリティーショップ「FREE HELP」にお客として訪れ、その取り組みに感銘を受けたといいます。
「住民が互いを気にかけ合う文化が根付いている塩屋でなら、チャリティーショップを運営できるのでは」と、寄付による古着販売を実験的に行ったところ、想像をはるかに超える古着が集まり、3日間のチャレンジショップは成功。手応えを感じ、お店を立ち上げることを決意したといいます。
塩屋の人やモノが集まる場所に
「お店に来たら何かがある、と思ってもらえる場所に」と、店内にはスタンド式のシェアキッチンを設け、住民が週替わりで立ち飲み屋や喫茶をオープン。さらに、塩屋在住の作家を中心とした個展を隔月で開催し、塩屋の人・モノを発信するコミュニティースペースも兼ねています。「古着だけでなく、いろんな目的で訪れてもらい、いずれは塩屋の観光案内所のような役割も担っていければ」と澤井さん。塩屋の新たな交流拠点として、ますますまちを活気づけています。
神戸市垂水区塩屋町4-2-6
TEL:078-777-3062
営業時間:11:00~17:00
定休日:火曜、水曜(木曜は月1回営業) ※古着の受け取りは土曜、日曜、月曜
アクセス:JR「塩屋」駅または山陽「山陽塩屋」駅から徒歩すぐ