和菓子店の昔ながらのアイスキャンデー

長田神社前の商店街に連なる和菓子店「餅屋 大西」は、1937(昭和12)年に長田でアイスキャンデーの店として創業しました。食堂を営み、和菓子も提供していた期間を経て、和菓子一本で商いをするようになったのは1966年のこと。時代とともに形を変えながらもアイスキャンデーは受け継がれ、今でも当初からの製法、包装を貫いています。

ラインアップは「あずき」(140円)、「ミルク金時」（160円）、「抹茶」(190円)、「ミルク」(140円)、「レモン」(90円)、「しょうが」(130円) の6種。手巻きの紙の包装と不ぞろいに刺された棒が、手作りならではの温かみを感じさせます。「和菓子屋らしさを生かし、粒餡入りのアイスを3種用意しました」と3代目店主の大西健一さんは話します。結晶が大きな白ざらめを使い、しっかり甘みはあるものの、あっさりとしてしつこくない味に仕上げており、アイスに入れても後味はさっぱり。「『抹茶』は抹茶の味をしっかり楽しめるように『ミルク金時』より餡を少なめにするなど、その味を求める人のことを考えて調整しています」

商店街に立地し近くに学校もあることから、子ども連れや老夫婦、生徒など客層は幅広く、毎年、本格的に暑くなる7月下旬以降、買い求める人が急増するそう。昔から変わらない一品はどこか懐かしく、心和ませてくれます。

伝統がコラボレーションしたアイスケーキ

阪急「夙川」駅の北側すぐ、来年創業60周年を迎える洋菓子店「ELBERUN」。混ぜ物のない純粋な生クリームを使ったケーキに誇りを持つ同店がコラボレーションしたのは、本場イタリアのジェラートの製法を40年来守り続ける、山梨県にある「御勅使氷菓子店」です。SNSで交流を始め、創業からの歴史や素材への情熱など共通点が多いことから意気投合、2年前にこだわりのアイスケーキが誕生しました。

「当店でも30年ほど前までアイスケーキを提供しており、いつか復活させたいと考えていました」と話すのは2代目店主の柿田衛二さん。ジェラートをサンドするビスキュイは、製法を今の時代に合うように更新。餅粉を使ったふんわり軟らかい生地にアールグレイの茶葉を入れ、女性好みの味わいを意識したといいます。

アイスケーキは1カットから購入でき、「源流ジェラートサンド 清らかなミルク」(416円)、「源流ジェラートサンド アルプス苺」(416円)が定番の味。さらに2種のフレーバーを同時に楽しめるものも用意しています。味の組み合わせはその時々で変えており、現在は濃厚なチョコレートと甘酸っぱくさっぱりとしたストロベリー味の「源流ジェラートサンド ヴァローナ＆ストロベリー」。定番品1カットずつと、ヴァローナ＆ストロベリー2カットの「ハーフセット」(1,901円)で販売しています。「ジェラート本来のおいしさを通じて、移り変わりが激しい世の中でも、消えることのない価値ある味を知ってほしいです」

本物のお茶が味わえるアイスクリーム

JR「新長田」駅の南側、大正筋商店街にあるお茶の専門店「お茶の味萬」は、令和の始まりと同時にアイスクリームの販売を始めました。「ペットボトルの普及で手軽にお茶が飲まれるようになった半面、本物のお茶の味が忘れられてしまう危機感を覚えました」と話す店主の伊東正和さんが、次の世代に受け継ぐ方法として、若い人も親しみやすいアイスクリームを思い付きました。

3段階の濃さから選べる「抹茶」(430円)をはじめ、「焙じ茶」(430円)、「玄米茶」(430円)、「バニラ」(430円)、「プレミアム抹茶」(550円)、「イチゴ」(430円)が定番の6種です。金粉がかかった「抹茶の極み」(1,000円)は、最高級宇治抹茶を使用しており、抹茶の苦み、甘み、風味を楽しめる至高の一品。通常の「抹茶」の後に食べれば、味の違いをより感じることができます。

伊東さんのイチオシは、2種を食べ比べできる「抹茶食べくらべ」(900円)。「初めての人は2段階目の濃さの『抹茶★3』、最も濃厚な『プレミアム抹茶』の順番で味の違いを体験してください」。抹茶を入り口に、その他のお茶にも興味を持ってほしいという思いを持つ伊東さんが世界で初めて作った玄米茶味のアイスもおすすめです。多様なアイスクリームをきっかけに、奥深いお茶の世界に足を踏み入れてみませんか。