薄紅色のシャワーが天から降り注ぐ八木のしだれ梅
淡路島の南部、南あわじ市八木に立つ村上邸の庭には樹齢70年を超えるしだれ梅があります。高さ約8mの大木が一枝一枝にみっしりと花を付けた様は、天から降り注ぐ薄紅色のシャワーのよう。開花期間は一般にも公開されており、その麗姿を間近で観賞することができます。
先代から受け継いだ珍しい品種
しだれ梅が植えられたのは60年ほど前。現在の家主、村上正尚さんの父、旭さんが知り合いの植木屋から「珍しいしだれ梅があるので植えてみないか」と勧められたものです。「一輪の花が大きい『藤牡丹』という品種で、当時は珍し過ぎて植木屋さんも育て方が分からなかったそうです」と村上さん。先代が独学で手入れの仕方を学び、丹精込めて育ててきました。
植栽時は高さ2m弱だった木も今では8mほどに成長。直径約60㎝の幹から数え切れないほどの枝を四方に広げています。薄紅色の花が連なる枝を優雅にしだれさせる姿は華やかで、見る者を幸せな気持ちにしてくれます。 梅の木は丁寧に剪定(せんてい)をしなければ新芽が出ないそう。毎年鮮やかな花を咲かせるためには、日頃の手入れが欠かせません。花が終わった3月下旬に枝先を切り落とし、4月、7月、9月と3回に分けて防虫剤と殺菌剤を混ぜたものを与え、12月に肥料をやります。「無数の枝を一本一本切っていくので、剪定が一番大変ですね」と、先代から大切な梅の木を受け継いだ村上さんは話します。
全国から訪れるしだれ梅ファン
静かな山里で花開くしだれ梅の大木は評判を呼び、40年ほど前に新聞で紹介されたことをきっかけに多くの人が見に来るようになりました。開花期間は一般に公開し、毎年、2万人もが訪れています。「リピーターが多いですね。来た人がSNSで紹介し、それを見た人がやって来てと、次々としだれ梅ファンが増えています。最近は梅の木のそばで奏でたいというオカリナやハープの演奏家もいらっしゃいますよ」と村上さん。近隣府県はもちろん、北海道や沖縄から足を運ぶ人もいるそうです。
満開を迎えた日から1週間はライトアップも実施。青空の下とはまた違った、幻想的な風情を感じることができます。
山懐に抱かれ、甘い香りを放ちながら咲き誇るしだれ梅。夢のような風景を見に淡路島まで足を延ばしてみませんか。
南あわじ市八木馬回219
TEL:0799-52-2336(淡路島観光協会 南あわじ観光案内所)
公開期間:2月下旬~3月中旬
※ライトアップ(日没~21:00)を含めた日程の詳細は南あわじ観光案内所に問い合わせを
入場料:無料 ※しだれ梅を維持・管理するための募金にご協力ください
アクセス:神姫バス・西日本JRバス・本四海峡バス「洲本バスセンター」から車で約35分
マップ:https://maps.app.goo.gl/bpjMrMB7NrhNJVw88