自然と調和する北山山荘の庭園

西宮市の北山緑化植物園内にある、数寄屋建築の北山山荘。木造の門をくぐり母屋の奥へ進むと、山の自然を生かした日本庭園が広がります。静けさと緑に包まれた癒やしの空間で、心安らぐひとときを過ごしませんか。

自然と融合するように造られた庭

1987 (昭和62)年、西宮市制60周年を記念して竣工した北山山荘。京都の北山杉を用いた木造銅板葺(ぶ)き平屋建て数寄屋造りの母屋と茶室、庭園から成ります。

背後の国有林や花崗岩の巨石群といった周囲の景観に融合する日本庭園は、造園家の荒木芳邦氏が手がけました。植物、灯籠(とうろう)、飛び石が巧みに配置され、四段の滝が流れる音が庭全体に響き渡ります。「庭にたたずむ人も風景の一要素として一体となるように造り込まれています」と、西宮市花と緑の課の中村裕理さん。季節により印象が変わるのもこの庭の魅力で、春はしだれ桜、初夏はコケ、秋は紅葉、冬はツバキと四季折々に風情ある景色が広がります。特に、6月ごろになると16種類ほどのコケが地面や岩肌を覆い、しっとりとした趣を加えるそうです。

庭園を流れるせせらぎを渡った先にある茶室の奥には「山野草のお庭」が設けられています。春には花の先端が釣りざおのように長く垂れたビジュアルのウラシマソウ、初春にはウメのような花を付けるバイカオウレンが咲き、他にも日常ではなかなか見ることができない山野の草花と出合えます。

庭園から見た母屋。優雅なたたずまいで、緑の景色に調和しています。
庭園は自由に散策できます。
6月になると木々の根元にコケが生い茂ります。
建物は一般公開しておらず、利用は有料で予約が必要です。

日本庭園を眺めながらいただく抹茶

2室の広間と立礼(りゅうれい)席を備える母屋は、茶会や句会などの文化的な催しや、国内外からの賓客を迎える行事で活用されています。庭に面した縁側や立礼席では、3月~6月と9月~11月の金曜~日曜限定で「生菓子と抹茶セット」(600円)、「干菓子と抹茶セット」(300円)をいただけます。

和菓子と抹茶茶碗は季節に合わせて選ばれ、6月になると涼しげなガラスの器で提供されます。「どの場所からも庭園を楽しめます。水琴窟の音が聞こえてくるので、耳を澄ませてみてください」

自然にあふれる庭園を散策して和の趣に浸った後は、抹茶と和菓子でほっとひと息ついてみては。

「生菓子と抹茶セット」。写真の生菓子は、きんとんで粒餡を包んだ「さつき」です。
庭に面した縁側の呈茶席には毛氈(もうせん)が敷かれています。4、5、10、11月は祝日も提供しています。
庭園は無料公開しています。
北山山荘
西宮市北山町1-1
TEL:0798-72-9391
営業時間: 10:00~16:00
定休日:水曜
アクセス:阪急バス・阪神バス「柏堂町」下車徒歩すぐ
マップ:https://maps.app.goo.gl/P2qGoxR58tAThrwd7
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