米袋を使った丈夫なバッグ
米袋には、農家によってさまざまなデザインが存在することをご存じですか。本来は廃棄されてしまう米袋をアップサイクルして作られた、エコで頑丈なバッグを紹介します。
アップサイクルで農業の魅力を伝える
宝塚市在住の梅鉢さんは「BOCCA」のブランド名で、米袋を用いたバッグを制作・販売しています。「コロナ禍に取り寄せた米の袋を使って、子どもと一緒にバッグを作ったのがきっかけでした。米袋に興味を持って調べるうちに、農家独自のロゴやデザインが施されていることに気付きました」と梅鉢さん。20kgや30kgある米の重みに耐えられる丈夫な米袋が、再利用されることなく廃棄される現状を知り、その解決策として2020(令和2)年に「米袋バッグ」の制作・販売を始めました。
まずは農家から仕入れたクラフト紙製の米袋にはっ水、防腐、防虫対策として柿渋を3回ほど塗布してから、加工に入ります。米袋の絵柄は農家によってさまざまで、青森県の伝統的な刺し子作家や個性豊かなイラストレーターが手がけた芸術的なものもあります。それぞれのデザインを生かして縫製し、内側に保温や保冷効果のあるシートを貼り、実用的なショッピングバッグに仕上げています。柿渋が日光により徐々にオレンジ色に変わっていく経年変化も魅力の一つです。
完成品は百貨店の催事や大阪府などで開催されるロハスフェスタ、オンラインショップで販売。現在は30件ほどの農家と取引しており、購入者には新米などのノベルティを進呈することも。不定期で実施する農家とのコラボレーション企画では、対象の米を注文し、その米袋を梅鉢さんに送ると、バッグにリメイクして返送してもらえます。「子どもたちが将来食べ物に困らない社会を願っています。生産者不足などの課題を抱える農家を応援するためにも、バッグを通じて農家の米作りに対する思いや米の魅力を伝え、農業に関心を持ってもらうきっかけになれば」。農業と食の未来を見据え、米袋のバッグを作り続けます。



