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知的障害がある店長が笑顔で迎える青果店

西宮市の南東部、みやこ商店街の一角に「まなちゃんの八百屋」という青果店があります。新鮮な野菜や熱々の焼き芋が並ぶ店先に座るのは、店長の野草真菜さんです。知的障害を抱えながらも懸命に働く「まなちゃん」はまちの人気者。その笑顔が地域の人をつないでいます。

障害があっても働ける場所を

同店がスタートしたのは2021(令和3)年の1月。真菜さんの働く場所をつくろうと、兄の惣太さんが立ち上げました。「当時の真菜はどこの作業所にも受け入れてもらえない状態で、それなら自分でつくるしかないと思いました」と振り返ります。

「安くていい品」がモットーの同店。「トマトは契約農家から直接買い付け、焼き芋用のサツマイモも茨城県産にこだわっています」と仕入れ担当の惣太さんは胸を張ります。

店長である真菜さんの仕事は朝の配達から。スタッフが運転する車に同乗し、契約している飲食店などに新鮮な野菜を届けます。店に戻ってからは定時の12時まで商品の袋詰めをしたり、焼き芋の準備をしたり。機嫌がいい時は、接客やレジ打ちをすることもあります。

「気分の波が激しいので、日によって仕事内容はまちまちです。ただ、最近は以前より店にいる時間が長くなりました。少しずつ店長としての自覚が出てきたのかもしれません」

「店にいると楽しい」「サツマイモにアルミホイルを巻くのは難しい」と真菜さん。店長兼看板娘です。
配達中の真菜さん。
リーズナブルな価格の野菜や果物。

店は障害者や高齢者の居場所

惣太さんは「まなちゃんの八百屋」を営むようになってから、お客さんに「うちの子も障害がある。働く場所がなくて困っている」と打ち明けられることが増えました。真菜さんと同じ悩みを持つ人が多いのだと感じ、2021年11月、障害や体調に合わせて働くことができる作業所「SOIL(ソイル)」を店の近くにオープン。また、土曜日には、「まなviva 」という放課後等デイサービスの子どもの仕事体験の場として、店を提供しています。

一方、お得意さんには高齢者が多く、真菜さんと会うのを楽しみにやって来ます。「店は真菜の居場所であるだけでなく、作業所に通う人たちや地域のお年寄りの居場所にもなっています」と惣太さん。店長を中心に交流の輪が広がりつつある「まなちゃんの八百屋」。商店街の青果店は、今日も明るい笑顔にあふれています。

「作業所の仕事に真菜が参加する時もあります」と惣太さん。
まなちゃんの八百屋
西宮市笠屋町13-30
TEL:080-4992-1640
営業時間:10:00~18:00(土曜は~13:00)
定休日:日曜、祝休日
アクセス:阪神「鳴尾・武庫川女子大前」駅から徒歩約15分
 
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