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ガレット・デ・ロワで明るい新年に

年明け、神戸・阪神間のパティスリーやベーカリーでもよく目にするようになった「ガレット・デ・ロワ」。キリスト教の文化を色濃く映した伝統的なスイーツを、家族や仲間と一緒に楽しみませんか。

フランス発祥のガレット・デ・ロワ文化

ヨーロッパでは12月25日のイエス・キリストの誕生を祝った後、年明けの1月6日に改めてキリスト生誕を記念する「エピファニー(公現祭)」が行われます。フランスでその時にいただくのが、「王様のお菓子」を意味する「ガレット・デ・ロワ」です。

パイ生地にアーモンドクリームが入ったシンプルなお菓子ですが、食べ方にユニークな風習があります。パイの中に「フェーブ」と呼ばれる陶器製の小さな玩具をしのばせ、配られた1切れにそれが入っていた人が「王様」です。紙製の王冠をかぶって皆から祝福を受け、幸せな一年を過ごせるといわれています。お店によって味わいやビジュアルが少しずつ異なり、フェーブにも違いがあるので、食べ比べるのもいいですね。

名店のレシピに基づいた気品漂う一品

神戸を代表する洋菓子店の一つ「patisserie mont plus」のガレット・デ・ロワは、オーナーシェフの林周平さんが修業を積んだフランスの名門パティスリー「ジャン・ミエ」のレシピがベースになっています。ホロホロ、サクサクとした繊細なパイ生地には、イタリア・シシリー産の上質なアーモンドパウダーを使ったアーモンドクリームがたっぷり。アーモンドと相性の良いラム酒の芳醇な香りと濃厚な味わいが広がります。

ガレットの表面を飾る「クープ」と呼ばれる模様は、縁起が良いとされる月桂樹をセレクト。絶妙な角度のカッティングにより、焼き上がるとくっきりと美しく浮かび上がります。

もう一つの〝お楽しみ″「フェーブ」は、お菓子やパンといった食べ物のモチーフを選んでいるそうです。個人的にも収集している林さんは、「昔はキリスト教にまつわるものが多かったのですが、最近はいろいろ。カップ&ソーサーなどもあって面白いですよ」と話します。どんなフェーブが出るかわくわくしながら、“ハレの日”に優雅な気分で気品漂うフランス菓子を堪能しませんか。

1月3日から16日まで販売予定。予約は随時受け付け中。20㎝3,780円。
林さんのフェーブコレクションの一部。人、動物、建物などさまざまなデザインがあり
ます。
海岸通でひと際目を引くおしゃれな店構え。夜もガラス張りの店内から温かな光がこぼれます。
パティスリー モンプリュ 
神戸市中央区海岸通3-1-17
TEL:078-321-1048
営業時間:10:00~18:00
定休日:火曜、第3水曜
アクセス:JR・阪神「元町」駅から徒歩約5分

気軽に楽しめる‶パン屋さんのガレット″

芦屋で50年前からフランスパンを製造・販売してきた老舗「ビゴの店」では、昔ながらのシンプルなガレット・デ・ロワを提供しています。創業者のフィリップ・ビゴさんは生前、フランスの伝統菓子の普及を目指す全国組織「クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ」の設立に携わり、ガレット・デ・ロワの普及に尽力。長男の太郎さんはその思いとともに、創業時から変わらぬ味を守ります。

生地はザクッとかみ応えがあり、アーモンドクリームは素朴な味わいで、ボリュームも控えめ。「フランスではもともと陳列台に無造作に並べられ手ごろな価格で売られており、誰でも気軽に買えるお菓子だったそうです」と太郎さんは話します。

フェーブは本来の伝統を尊重し、キリスト教にまつわる聖人からチョイス。「家庭では子どもが当たった時には親にお願い事をかなえてもらったり、飲食店では当たった人が全員におごったり。父から面白い話をよく聞きました」

これからも気軽に楽しめる“パン屋さんのガレット″で、フランスのエスプリを伝えます。

クープはオーソドックスな月桂樹の葉。1月2日から販売予定。18㎝2,200円、21㎝2,800円、24㎝3,800円。

バゲットや菓子パン、惣菜パンなど幅広い商品が並ぶ店内。店の奥には先代の功績をたたえる賞状などが展示されています。

大通りに面した便利な立地にあり、一日を通し多くの客が訪れます。

ビゴの店 芦屋本店
芦屋市業平町6-16
TEL:0797-22-5137
営業時間:9:00~20:00
定休日:月曜(祝休日の場合は翌平日)
アクセス:JR「芦屋」駅から徒歩約5分

南仏で定番のブリオッシュタイプ

ガレット・デ・ロワはパイ生地が主流ですが、南仏にはブリオッシュ生地を用いた「クーロンヌ・デ・ロワ」と呼ばれるタイプがあります。

神戸・北野のパン店「Ca Marche」のオーナーシェフ西川功晃さんは、数年前からクーロンヌ・デ・ロワの普及に力を入れています。30年ほど前に修業していたプロバンス地方では、ブーランジェリーはもちろんパティスリーでもリング状のブリオッシュにドライフルーツやパールシュガーを散りばめたクーロンヌ・デ・ロワしか販売されていなかったといいます。「南仏はドライフルーツの産地なので飾り付けも華やかで、香り付けには強い香りを放つオレンジフラワーウオーターが使われているのが印象的でした」と振り返る西川さん。

リング状のブリオッシュであれば、組み合わせる素材に決まりはないそうで、同店でも年によってテイストを変えています。「今はクランベリー、チョコレートなど洋の食材を使っていますが、いずれは干し柿やユズのピールなど和のものを取り入れてみたいと考えています」。

パイ生地に比べるとまだ浸透していませんが、いずれ日仏の食文化が融合したユニークな一品が誕生するかもしれません。

1月上旬から販売予定。18㎝1,600円。フェーブは店名入りのプレートのほか、車や動物などもあります。
甘酸っぱいクランベリーがたっぷり入った生地。表面にはパールシュガーがあしらわれています。

週末には行列ができる人気店。店先にはイートインスペースもあります。

サ・マーシュ
神戸市中央区山本通3-1-3
TEL:078-763-1111
営業時間:10:00~18:00
定休日:月曜~水曜
アクセス:各線「三ノ宮」「三宮」「神戸三宮」から徒歩約15分
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