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進化する角打ち②スタンディングBarモリシタ

酒屋の一角で軽くお酒を楽しむ「角打ち」。昔は乾きものをつまみながら立ち飲みしていましたが、近年は椅子を置く店も増え、ちょっと手の込んだ酒肴を提供したり、特定のジャンルのお酒に特化したりと、様相が変わりつつあります。個性あふれる今どきの角打ち店を紹介します。

約80種のベルギービールをお手頃価格で

JR「新長田」駅の北の住宅街に、森下酒店が営む「スタンディングBarモリシタ」はあります。創業91年を迎える老舗が転機を迎えたのは、29年前の阪神・淡路大震災の時。かつては情緒あふれる下町の風景が広がっていましたが、火災で一帯は焼失。何とか店を再建したものの、2代目店主の森下隆行さんは「これからの時代、何か強みがなくては生き残れない」と感じたそうです。ちょうどその頃、たまたま口にしたベルギービールの奥深さに引き込まれ、思い切って品ぞろえをベルギービール中心に再編。徐々に数を増やし、今では約80銘柄に上ります。

種類の多さもさることながら、特筆すべきはリーズナブルな価格。高い店では1,000円近くする「ヒューガルデン・ホワイト」が780円というから驚きです。うわさが人を呼び、最近では遠方からの客や若い女性客が増えたといいます。

「ベルギービールは、香りや味わいなどバラエティーに豊んでいるのが特長。チョコレートの香りがしたり、フルーツの甘みが感じられたりして面白いですよ」と森下さん。香りや味わいをより感じるために、銘柄によって専用のグラスがあるのもベルギービールならでは。香りが強いものは口が広くて浅め、酸味のあるものは細くて高さがあるタイプなど、個性を際立たせる形状のグラスで提供されます。「馬車の御者が仕事中に飲めるように、持ち手が付いたユニークなものもあります」

酒のさかなは日替わりで20品ほど。主に妻の涼子さんのお手製ですが、桜などのチップを使った燻製(くんせい)メニューは隆行さん自ら手がけます。「年齢を重ね体力的に大変になってきましたが、創業100年を目指し頑張ります」

時代や環境の変化に負けず、これからも庶民にうれしいお手頃価格でベルギービールの魅力を伝えていきます。

左から、爽やかな味わいの「コルセンドンク・グランドホップ」(880円)、カラメルモルトによる甘みと酵母によるバナナのような味わいの「パウエルクワック」(890円)。「燻製盛り合わせ」(450円)は卵やカマンベールなど6種。
店主の森下さん。店内の壁一面に、銘柄ごとに特長が詳しく書かれた手作りのカードが貼られています。
ベルギービール以外に日本酒や焼酎も置いています。椅子が足りないときは、立ち飲みスタイルで。
左が酒屋、右がバーの入り口。店の奥でつながっています。
スタンディングバー モリシタ
住所:神戸市長田区水笠通6-1-9
電話番号:078-621-2944
営業時間:17:00~21:00(L.O.20:30)
定休日:日曜、祝休日
席数:カウンター6席、テーブル4席
アクセス:JR「新長田駅」から徒歩約5分
マップ:https://maps.app.goo.gl/HyasSFT4UdV9hYKs5
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