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うま)年の初詣に!馬にまつわる寺社3選
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日本最大級の馬頭観音像が立つ妙光院

摩耶山の麓に立つ妙光院は、日本最大級の馬頭観世音菩薩を祭っています。六観音の一尊で、民間信仰では馬をはじめとする動物を守る存在として慕われています。

憤怒の形相で見守る山麓の観音さま

神戸市バス「青谷」停留所から北へ、坂道を少し歩いた先に妙光院はあります。30段ほどの石段の奥に見えるのは、高さ約6mの馬頭観世音菩薩。石段を上り間近で臨むと、その大きさがよく分かります。

妙光院は703(大宝3)年に京都で創建された天台宗の寺院。1908(明治41)年、現在地に移転しました。当時の住職が、坂の多い神戸の地で馬がたくさんの荷物や建材を運搬する姿に心を痛め、「生きている時は馬の健康や安全を祈り、亡くなったら供養して彼らの霊を弔うのは当然ではないか」という思いから、1933(昭和8)年に馬頭観世音菩薩を建立したそうです。

四面八臂(はっぴ)の観音さまは、手に魔を払う利剣や祈念の念珠などを持ち、頭上には馬の頭部を頂きます。跳ね馬の背に乗り、憤怒の形相で真っすぐ前を向く様は迫力に満ちています。動物だけでなく生きている者全てを優しく、かつ厳しく見守っているのです。

参拝に訪れるのは、調教師や騎手、馬主などの競馬関係者をはじめ、動物に関わる仕事をしている人、ペットの健康を祈る人などさまざま。境内にある供養塔には、往年の名馬のたてがみと蹄鉄が納められています。近年はペットの弔いを希望する人も多いそうです。

作者は人間国宝の第28世大谷相模椽隆義師。

三が日には本尊の毘沙門天のご開帳も

本尊は、武神であり福徳の神である毘沙門天。天武天皇の勅願により、孫である文武天皇が勧請奉安されたと伝わります。通常は非公開の秘仏で、厨子が開かれるのは年に一度。毎年1月1日から3日まで3日間のみです。2026年1月2日(金)の13時からは、本尊に新しい年の健康と幸せを祈る初毘沙門天祭(新年祈願祭)が行われます。

さらに、1月18日(日)の13時からは初馬頭観音大祭も。「馬頭観音像の前で護摩法要を行い、愛馬の安全や活躍、動物やペットの健康を祈念します」と住職。法要で護摩祈禱(きとう)したお札は参拝者に授与されます。

大迫力の馬頭観音像に襟を正し、秘仏の毘沙門天を拝んで一年の幸をお願いする初詣。良い年になりそうです。

初毘沙門天祭は毘沙門堂内での法要(20席ほど)。
初馬頭観音大祭の様子。
妙光院
神戸市中央区神仙寺通1-2-10
TEL:078-221-3065
アクセス:神戸市バス「青谷」下車徒歩約5分
HP:https://www.kobe-myokoin.com
マップ:https://maps.app.goo.gl/wMUWPC2ABCn81XDN7

【番外編】阪神競馬場にも馬頭観音!?

阪急「仁川」駅で降り、専用連絡通路を歩いて約5分。言わずと知れたJRA阪神競馬場の中にも馬頭観音が祭られているのをご存じですか。

イベント広場の一角、2頭のこま犬の間を奥へ進むと突き当たりに見えるのが、「馬頭観世音菩薩」と刻まれた仏石です。1934(昭和9)年、前身である阪神競馬倶楽部の時代に有志の寄付により建てられました。「事故や病気で亡くなった競走馬たちの慰霊と人馬の安全を祈願するためのもので、少なくとも1918(大正7)年にはあったようです。現在の形になるまでに幾度か再建や移築をしています」と話すのは総務課の田原勇輝さん。「当競馬場でレースが行われる際には、その前の木曜に妙光院さまにご足労を願い、馬頭観音祭を執り行っています」

競馬の開催日には競馬ファンが手を合わせ、レースの安全や競馬の必勝祈願をしているとか。午年の初詣は阪神競馬場に出かけるのも一興です。

阪神競馬場の一角に祭られている馬頭観世音菩薩。
JRA阪神競馬場
宝塚市駒の町1-1
TEL:0798-51-7151
営業時間:9:00~17:00
営業日:土曜、日曜
入場料:一般200円(阪神競馬場でのGⅠ開催日は500円、場外発売日は無料)、15歳未満無料 
アクセス:阪急「仁川」駅から徒歩約5分
HP:https://www.jra.go.jp/facilities/race/hanshin/
マップ:https://maps.app.goo.gl/trSaWAjgW5nY7c937
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