コープ自然派 安全・安心ものがたり⑥有機農作物の無添加加工品
徳島県小松島市で1946(昭和21)年に創業した光食品株式会社は、オーガニック加工品のパイオニア。野菜や果物のジュース、ソースやケチャップ、ドレッシングなどの飲料や調味料を昭和の時代にいち早く有機農作物で実現しました。コープ自然派とも共同開発をしながら、安全・安心な商品を世に送り続けています。
日本初の有機農作物のソースを開発
ソースメーカーとして創業した同社がオーガニック製品に取り組み始めたのは、50年ほど前のこと。市場に合成添加物だらけの食品が増える中、創業者が「健康に良い商品を手頃な価格で世に出し、世の役に立ちたい」と開発に着手しました。
まずは1964(昭和39)年、合成添加物を一切使わないソース「超特級ヒカリソース」を発売します。その後、現在2代目社長を務める島田光雅さんも家業に加わり事業を拡大。さらに「有機農作物でより安全なものを」と仕入れ先を探しますが、当時はまだ有機栽培の農家が少なく、苦労してやっと徳島県内の有機栽培の畑を見つけます。そこには規格外のミカンがたくさん余っていました。「味は変わらないのにもったいない。農家のためにもこれを使おう」と出荷できないものを全て買い取り、ソースに加工することに。1977年、日本初の有機原料によるソースが誕生します。
46年前、コープ自然派の前身「徳島の暮らしをよくする会」との交流が生まれます。やがて共同で商品開発に取り組むようになり、有機栽培のリンゴとニンジンを主とした無添加のジュース「有機アップルキャロット」をはじめ多彩な商品を開発しました。「アップルキャロットを作るきっかけとなったのは、台風で青森県のリンゴ農家が大被害を受けたことでした。木から大量に落ちた果実は未熟で甘さが足りなかったため、ニンジンを加えました」
その後も、農家で余った食材を買い取っては、それに合わせた商品作りを続けています。「目の前の作物をどう活用し生まれ変わらせるか、その都度考える過程が楽しいです」と島田さんは目を輝かせます。
工場と農地で有機JASを取得
製造現場にもこだわりが光ります。2000(平成12)年に現在地に本社と工場を移転する際、環境保全型の工場を建て、有機JASの認証を取得しました。屋根には太陽光パネルを設置し、夏は屋根を冷やして建物内の温度を下げるためのスプリンクラーも備えています。工場脇には排水を浄化する装置も備え、「中空糸膜」という特殊なフィルターと微生物の力を使った技術できれいな水にろ過しています。さらに、ごみの削減にも努め、製造工程で出る野菜や果物の皮はたい肥に変えて、畑に戻しています。
2000年には徳島県内に自社農場も整備、有機JASを取得してユズをはじめかんきつ類やトマトなどを栽培しています。「昨今は農家の高齢化が進み、人手不足で商品の原料を確保するのも大変になってきました。今後は収穫体験イベントなどを催し消費者の皆さんの手も借りながら安全な食品作りを続けていけたら」と島田さん。国内でいち早くオーガニック食品を始めたパイオニア企業として、時代の一歩先を見据えた取り組みは続きます。