コープ自然派 安全・安心ものがたり⑤アニマルウェルフェアに配慮した養豚/PR
家畜動物が生きている間、ストレスが少ない環境で命を育むという考え「アニマルウェルフェア」。日本はヨーロッパに比べ大幅に導入が遅れており、畜産業で対応している農場はまだ少数です。その一つ、香川県に本社を構える株式会社七星食品ではこの考えの下、コープ自然派と共同開発したブランド豚「自然豚」を育てています。同社が力を注ぐ、生き物に優しい畜産を紹介します。
動物福祉に配慮した飼育環境を整備
1951(昭和26)年、香川県高松市で精肉店として創業した同社。その後食肉加工業に進出し、1990(平成2)年には養豚事業も始めます。30年ほど前、コープ自然派から「アニマルウェルフェアの考えを取り入れながら、安全性も高い豚肉を供給できないか」との相談を受け、飼育環境や餌などにこだわったオリジナルのブランド豚「自然豚」の飼育に着手しました。「専用の農場を整備し、餌は非遺伝子組み換えかつ収穫後にも農薬が使われていないものに変え、抗生物質をはじめとする薬品も子豚期を除いて使用を控えることにしました。その分、日々の健康チェックは欠かせません」と加工事業部の東原正弥さんは話します。
農場は病気の感染リスクを下げるため、繁殖は徳島県阿波市にある「阿波ファーム」、肥育は美波町にある「美波ファーム」に分けています。阿波ファームではIT技術を用いて一頭ずつ健康状態を管理しているほか、国内の多くの農場が妊娠豚を柵で囲い込んでいるのに対し、出産まで自由に動き回れるよう配慮。生まれた子豚は温度管理された部屋で30kgになるまで約3カ月間育てられ、美波ファームへと移されます。
地域循環型の農畜産業にも取り組む
緑豊かな山あいに広がる美波ファームでは6棟の豚舎で常時約4,000頭を3カ月間育て、年間約1万2,000頭を出荷しています。金網で囲われた豚舎は天井が高く、風通しも良くて開放的。1頭当たり1.5㎡以上のスペースを確保し、日齢の近い数十頭をまとめ、群れで生活させています。
豚舎での快適性を高めるための仕組みが「バイオベッド方式」です。地元の材木店のおがくずや精米店のもみ殻などを混ぜて発酵させた土のような床にすることで、豚本来の習性である「ルーティング」と呼ばれる穴掘りも思う存分できます。また、ふん尿はバイオベッドに含まれる微生物により発酵分解されるため、臭いや水の汚染が抑えられ、環境にも優しいのがポイントです。「ふん尿は時間をかけて高温で加熱・殺菌し、堆肥として地域の農家などにも無料で提供しています」と生産事業部の海部哲央さんは話します。
目下一番の悩みは、餌代の高騰。海外産のトウモロコシを中心とした飼料の価格は、円安などの影響により役10年間で3倍近くに跳ね上がり、最近は国産の飼料米も餌に加えているそうです。「畜産を取り巻く環境は年々厳しくなっていますが、工夫をしながら豚たちを元気に成長させ、これからも皆さんに安全・安心なお肉を届けていきたいです」と東原さん。今日も山奥の豚舎では、ふかふかのバイオベッドでのんびりくつろぐ豚たちの、のどかな一日が過ぎていきます。