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風呂上がりのお楽しみがある銭湯

銭湯といえば湯上がりのコーヒー牛乳のイメージですが、それだけではありません。サーバーから注がれる生ビールにご当地ドリンク、手作りおでんなど、店主の思いが込められた一品で、お風呂の後をさらに心地よい時間にしませんか。

名物のおでんはちょっと甘めの家庭の味(萬歳湯)

JR「新長田」駅から徒歩約5分、大通りと交差する細い路地を入った所に「萬歳湯」はあります。のれんをくぐり中に入ると、正面のカウンターには業務用のおでん鍋。しっかりと煮込まれたこんにゃくや厚揚げ、卵などが、かつおだしのいい香りを漂わせています。「だしにはプロ用のかつお節やさば節をたっぷり使っています。ちょっと甘めの濃い味付けで、皆さん『家のおでんの味がする』と言ってくださいます」と話すのは綿貫友子さん。終戦間近の1945(昭和20)年5月に祖父が開業した銭湯を、夫の功一さんと二人三脚で守っています。

おでんを始めたのは、阪神・淡路大震災の後。壊れた建物を再建した際に工務店から「軽食メニューを提供する銭湯が増えている」と聞き、カウンターを造ってもらったそうです。うどんやホットドッグに加えて、手作りおでんを出すことにしたのは友人のすすめがきっかけ。「どうせならおいしいものを」とだしからこだわり、毎日開店の3時間ほど前から仕込んでいます。「ジャガイモは甘みがある品種、キタアカリと決めています。うちで味を知り、家でも使うようになったご近所さんも多いんですよ」

手間がかかるため軽食メニューは段々と縮小し、結局おでんだけが残りました。「おでんを楽しみに来られるお客さんが多いので、やめられません。中には予約される方もいます。うちは居酒屋じゃないんですけどね」と笑う友子さん。愛情いっぱいのだし汁が染み込んだ手作りおでんは、下町の銭湯に笑顔の花を咲かせています。

キタアカリを使った「じゃがいも」(100円)、「すじ」(100円)、こんにゃくと厚揚げ、ごぼう天が一度に味わえる「三兄弟」(100円)。
老舗の銭湯を営む綿貫夫妻。「交流の場でもありますからね。頑張って続けたい」と功一さんは話します。
一番奥の浴槽は刺激が“最強ランク”と評判のボタン式電気風呂。腰痛に効果があるそうです。
萬歳湯
神戸市長田区腕塚町4-1-2
TEL:078-641-2655
営業時間:12:30~翌0:30
定休日:火曜
入浴料金:大人(中学生以上)450円、中人(小学生)160円、小人(未就学児)60円
アクセス:地下鉄「駒ヶ林」駅から徒歩約5分
マップ:https://maps.app.goo.gl/1nAD3V5LCv1TazJs5

親子の交流を育む瓶入りの「アップル」(あさぎり湯)

高取山の麓に広がる神戸市長田区の住宅街、長い坂道の途中に立つ「あさぎり湯」は創業60年。木札の靴箱や一人掛けソファのようなマッサージチェアなど、レトロな品々が昭和を思い起こさせます。受け付け横の冷蔵ケースには、こちらも懐かしい瓶入りのラムネと共に黄色いドリンク。「長田で昔から飲まれている『アップル』です」と、2代目主人の瀧山しな子さんが教えてくれました。

「アップル」は、長田のお好み焼き店や居酒屋で主に提供されているご当地ドリンク。リンゴ味ではなく、なぜかミカン味という面白さと神戸以外には流通していない珍しさから人気を集めています。瀧山さんにとっても、子どもの頃から慣れ親しんできた思い出の味だそうです。

扱い始めたのは意外にも4年前。「以前は牛乳とコーヒー牛乳を置いていたのですが、ずっとお世話になっていた販売店が廃業してしまって」と瀧山さん。「子どもが牛乳の代わりに飲むのにちょうどいいと思い、仕入れるようになりました」

同銭湯には最近、親子で訪れる客が増えているそうで、子どもの頃に「アップル」をよく飲んでいた親が「懐かしい」と手に取り、わが子にもすすめる場面をよく見かけるといいます。「親子が仲良く一緒に飲んでいるところを見るとほっこりします」と瀧山さんは目を細めます。郷愁を誘う瓶入りのドリンクは、湯上がりの親子のコミュニケーションにも一役買っています。

「アップル」は140円。「後味がすっきりしているのでお風呂上がりにはぴったり」と瀧山さん。
脱衣所は畳敷きで、ほっと一息つける空間になっています。
高台に立っているため、晴れた日には海が見えます。
あさぎり湯
神戸市長田区長尾町2-13-9
TEL:078-643-3264
営業時間:14:00~23:00
定休日:第2・4金曜
入浴料金:大人(中学生以上)450円、中人(小学生)160円、小人(未就学児)60円
アクセス:神戸市バス「育英高校前」下車徒歩約5分
マップ:https://maps.app.goo.gl/fhpiS5b6v1nmQftHA

キンキンに冷えたジョッキに注がれる生ビール(クア武庫川)

西宮市の武庫川団地に程近い場所にある「クア武庫川」は、街中の銭湯でありながら天然温泉を備えています。温泉は地下約100mに設置したポンプで地下約1,500mからくみ上げ、営業時間中はかけ流し。加水、加温は一切していない源泉100%とあって、連日開店を待つ人が並ぶほどの盛況ぶりです。

にぎわいのもう一つの理由は、ビアホールさながらにサーバーで提供される生ビール。温泉を掘り出した1993(平成5)年、合わせて飲食メニューの充実を図った際に扱い始めました。「私がビール好きなんです。好きだからこそ、缶ビールではなくサーバーでの提供にこだわりました」と主人の宮下敬一さん。注文が入ると、慣れた手つきで琥珀(こはく)色の液体をジョッキに注ぎます。仕上げにきめ細かいクリーミーな泡をのせれば、飲み口まろやかな極上の味わいの出来上がりです。

おいしさを保つため、サーバーは毎日水通しとスポンジでの定期洗浄を欠かさず、ジョッキは隅々まで丁寧に洗って冷凍庫で保管します。「うちの温泉は熱めなので、皆さんほかほかで出てきます。そんな時はとにかく冷たい方が絶対おいしいですから」 毎日注文する人がいるくらい人気の生ビール。2009(平成21)年に飲食メニューを縮小した際も手間がかかることは承知で残しました。「コロナ禍以降、飲みに出かける代わりに1杯だけ飲んで帰る人も増えました。楽しみにしている人がいる間は続けます」と宮下さんは話します。ビアホールと遜色ないクオリティーの生ビールと熱々の天然温泉で、至福の時を過ごしませんか。

サーバーからビールを注ぐ手つきはまるでプロ。10年以上続けている賜物です。
キンキンの生ビール(430円)。
半露天風呂になっている温泉は、空気に触れると濁るナトリウム塩化物強塩温泉。「純温泉協会」から加水、加温、循環ろ過、消毒、入浴剤いずれも“なし”の「純温泉A」に認定されています。
クア武庫川
西宮市笠屋町3-10
TEL:0798-47-8565
営業時間:15:00~23:30
定休日:木曜
入浴料金:大人(中学生以上)490円、中人(小学生)180円、小人(未就学児)80円
アクセス:阪神「東鳴尾」駅から徒歩約5分
マップ:https://maps.app.goo.gl/ctU7axfBYTz9b1o27
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