大人のかき氷①有馬茅店 Bécassine
フレッシュな果実がふんだんに飾られている豪華版もいいけれど、小ぶりでシンプルなタイプも捨てがたい、かき氷。大人好みの素材を使った、この夏味わいたい大人味を紹介します。
南高梅の風味を存分に楽しむ“梅尽くし”
神戸市北区にある有馬温泉の中心街、土産物店や飲食店が立ち並ぶ湯本坂を上ると、右手に林渓寺の山門が見えてきます。その隣にあるのが2023(令和5)年8月にオープンした「有馬茅店 Bécassine」。こだわりの抹茶ドリンクとお団子が味わえる店はテラス席のみで、寺の石垣を借景に床几(しょうぎ)が並びます。脇には、高さが2m以上ありそうなかやを使ったオブジェ。「北区にはかやぶきの古民家がまだ残っています。有馬に来られた方に地域の文化を感じてほしいと思い、かやぶき職人さんに作ってもらいました」とオーナーの南勝巳さん。周囲の自然や石垣とも調和し、心落ち着く空間を創り出しています。
夏季は、三木市の製氷業者から仕入れる純氷を削ったかき氷も提供しており、「宇治金時氷」(1,200円)や「きなこみるく氷」(880円)といった定番商品3種のほか「梅氷」(1,100円)も。かかっているのは自家製の梅シロップと梅ジャムのみで、手作りの甘露煮が添えられた、まさに“梅尽くし”です。「お隣の林渓寺さんには、つぼみのうちから赤いということで『未開紅』と名付けられた樹齢200年以上の紅梅があります。それにちなんで、梅のかき氷を作ろうと思いました」と店長の朝倉夢花さん。
皮が薄く、果肉が軟らかい南高梅を使用。甘露煮は、一晩かけてあく抜きをした実をたっぷりの水とグラニュー糖と一緒に、ゆっくりと火入れします。「冷まして、また火を入れての繰り返し。この時の煮汁を煮詰めて糖度を調節したものがシロップになります」。ジャムの材料は種を取った果肉とグラニュー糖。水分は一切加えず、こちらもゆっくりと加熱しながら、果実感を残して緩めに仕上げるそうです。
梅の滋味を存分に堪能できるかき氷は、自然の甘酸っぱさを生かしたすっきり味。「南高梅は素材自体の甘みが強いので、思ったより甘めに仕上がりました。もう少しさっぱりした感じがお好みの方にはレモンのシロップもご用意しています」と朝倉さん。飾り気のないシンプルなフォルムからは、「素材の味をそのまま味わってほしい」という思いが伝わります。
床几に腰を下ろし、どこか懐かしさを覚える梅味のかき氷をいただく昼下がり。ひと時の清涼感が暑さを忘れさせてくれそうです。
神戸市北区有馬町1068
営業時間:10:00~17:00
定休日:不定休 ※休業日はInstagramを参照
席数:テラス20席
アクセス:神戸電鉄「有馬温泉」駅から徒歩約15分
Instagram:https://www.instagram.com/arima_bouten_becassine/
マップ:https://maps.app.goo.gl/ddLDPv4S4GCzh1Z17