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- 多彩な文化財が一度に見られる本興寺の大宝物展
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10月24日公開予定
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多彩な文化財が一度に見られる本興寺の大宝物展
阪神「尼崎」駅の南に広がる寺町の一角に立つ本興寺。毎年11月3日の文化の日には、虫干しを兼ねて国指定文化財をはじめとする数々の貴重な宝を一般公開、多くの人でにぎわいます。
お参りしながら文化財を見学
法華宗四大本山の一つ本興寺は、1420(応永27)年、日隆上人が開山。現在地より東に建てられましたが1617(元和3)年、尼崎城築城に伴い今の場所に移されました。寺には建物や彫像など多数の文化財があり、毎年11月3日、一般の人も参列できる法要や普段は非公開の宝物殿で目にすることができます。
国指定文化財は、木造日隆上人坐像、太刀銘恒次、開山堂、三光堂、方丈の5点。とりわけ室町時代に作られた木造日隆上人坐像は、70歳の時の姿を忠実に写し取った貴重な作品です。「通常はイメージだけで彫られるので実物と異なることが多いのですが、ご本人を見ながら作られたと伝わり、とてもリアルです。頭部には歯と頭の骨片が納められています」と塔頭の一つ、養寿院住職の川井育大さんは話します。像は上人の没後に建てられた開山堂に安置され、当日は10時30分ごろと14時ごろの法要の際、ご開帳されます。
鮮やかな朱塗りが目を引く三光堂も見逃せません。法華宗の守護神である三十番神、鬼子母神、三光天子、十羅刹女(じゅうらせつにょ)がまつられ、10時から行われる祈願では一般の人も本殿前まで進んでお参りし、堂内の様子をうかがうことができるそうです。「一般の方に法要に参列いただくのは珍しいことだと思います。普段本殿には近づけないので、この機会にぜひ」と川井さんは話します。



毎年少しずつ入れ替えられる展示品
工芸品や古文書などを展示する宝物殿は9時に開館。入館は無料ですが整理券が必要で、当日7時ごろから配布される予定です。館内には県指定文化財の淡路島出土銅鐸や織田信長をはじめ戦国時代の武将から届いた文書など900点近くが収蔵され、そのうち数十点が展示されます。「代表的なものは毎年出していますが、それ以外は毎回少しずつ入れ替えています」と塔頭一乗院住職の斎藤明寛さん。
例年注目を集めるのが、鎌倉時代初期の日本刀、太刀銘恒次です。国内の優れた刀剣「天下五剣」の一つで、法華宗の開祖である日蓮上人が所持していたものを縁あって同寺で保管しています。数珠をかけて杖にしていたので「数珠丸」と呼ばれ、寺では数珠丸をかたどったペーパーナイフやキーリングといったグッズも販売。今年は数珠丸が描かれた切り絵タイプの御朱印などの新作も用意されるそうです。
この他、客人をもてなす際などに使われている江戸時代の書院造りの建物、方丈も見学できます。狩野派の絵師が手がけた華やかな襖(ふすま)絵、大名茶人や作庭家として知られる小堀遠州の作と伝わる枯れ山水の日本庭園などを鑑賞することが可能です。
年に一度の貴重な日、穏やかな空気が流れる寺院で、仏門の世界を通し日本文化の多様な美を感じてみませんか。



場所:尼崎市開明町3-13
日時:11月3日(月・祝)9:00~16:00
TEL:06-6411-3217
アクセス:阪神「尼崎」駅から徒歩約5分
HP:http://www.hokkeshu.or.jp/honzan/honkoji.html