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“増粉”ファンと共に神戸・日本のスイーツ文化を世界へ

1868(明治元)年の開港以来、神戸は海外から多くの人やものを受け入れてきました。メリケン粉と呼ばれる小麦粉が輸入され始めると、街には洋菓子店が誕生。日本人も、それまではあまり食べなかった洋風のパンや菓子を好むようになりました。そんな時代に、株式会社増田製粉所の前身である増田増蔵製粉所は誕生しました。

独自製法で作られる高級製菓用小麦粉

1906(明治39)年、輸入商を営んでいた増田増蔵は神戸市長田区に増田増蔵製粉所(現・株式会社増田製粉所)を設立。米国のCENTENNIAL FLOUR MILL社の技術と出資を得て、当時最新鋭だった米国の機械と技術を用いた製粉を始めました。翌年には、今日まで愛され続けている主力商品「宝笠」が誕生。しっとりと口溶けの良い菓子を作ることができる粉は増田製粉所を代表する商品となりました。「宝笠は、一般的な製粉法より1工程多い独自の製法で作られています。この製法は現代まで伝承している門外不出のもの。よそにはない1工程を加えることで、グルテン形成が少なく、泡立てた気泡を優しく包んで壊さない粉になるのです」と、執行役員で営業部長を務める下川直也さんは話します。

日本でのパンや菓子の消費拡大に伴い、「宝笠」は、洋・和菓子を問わず菓子に最適な粉として全国の職人に認められる存在に。その後はユーザーのニーズを拾いながら、さらなる改良が続けられました。現在、宝笠印には6タイプがラインアップ。ユーザーの好みや最終製品によって選べます。

創業当時の工場外観。

2010年代には、クッキーやタルトなどの焼き菓子専用小麦粉の開発に乗り出しました。「消費者の菓子に対するこだわりやニーズが多様化したことを受け、焼き菓子に特化した粉を作ろうとなったのです」と下川さん。かみ応えがありながら、口の中で崩れていく食感を求め、ヨーロッパで用いられている製粉工程を参考に独自の工程を研究。原料も、ヨーロッパ産小麦と組成が近い北海道産小麦を選びました。製粉工程と小麦の新たな組み合わせにより、2019(令和元)年秋、焼き菓子に新食感をもたらす専用粉「赤煉瓦」がついに誕生。販売数は増加傾向にあるそうです。

時代の嗜好(しこう)やニーズに合わせ、日々、研究や改良が進められています。

増田製粉所のファンを増やすために

近年注力しているのが、インターネットやSNSを活用したファンづくりです。「わが社はBtoB企業ですので、顧客は大手の菓子メーカーさんや卸業者の方々に限られ、実際に小麦粉を使っている職人さんや個人店のパティシエの方々とは交流する機会がありませんでした。そういう人たちともっとつながりたい、そして弊社の小麦粉のファンをもっと増やしたいと思ったのです」と、営業企画チームの竹内将人さんはその意図を語ります。

まずは、2018(平成30)年、宝笠印小麦粉のブランドサイトを開設。多彩なコンテンツで「宝笠」の魅力を伝えています。翌19(令和元)年に開設した同社の公式インスタグラムでは、小麦粉や製菓にまつわるお役立ち情報などを日々更新中。フォロワーは3,000人を超え、DMを送ってくれる人も多いそうです。「たくさんの『宝笠』ユーザーの方とつながることができ、中には熱烈なファンもいらっしゃって、うれしい限りです」と竹内さん。20(同2)年には一般消費者向けに公式ECサイト「増田製粉所Webストア」をオープンしました。

インスタグラムを通じて知り合ったスイーツ店とのコラボ事業も実現しました。昨年10月、JR三ノ宮駅南口イベントスペースで、初のポップアップストア「masufun+(ますふんぷらす)」を出店。「宝笠」や兵庫県産小麦を原料とする商品と一緒に、コラボ店がそれらを使用したスイーツを販売しました。「コラボしたお店からは『いろいろなお客さんに来てもらえてよかった』という声を頂きましたし、事前PRをしてくださったKissFM KOBEなど他業種の方々と知り合うことができました」と竹内さん。インターネットの検索数が増えるなど増田製粉所の認知度も上がり、「われわれも、お客さんも、地域も活性化する。まさに三方よしのイベントでした」。

「masufun+」での一コマ。増田製粉所のスタッフは宝笠印のエプロンを着用しています。
トートバッグやエコバッグなど、さまざまなオリジナルグッズも制作。

オールジャパンでブランド力アップ

ブランドサイトの開設と時を同じくして、中国をはじめとするアジア各国への小麦粉の輸出を本格的に開始しました。中国では、上流階級の主婦や若者などを中心にプロのケーキ作りを学ぶ機運が高まっており、多くの人が独立開業を目指しているとか。しかし、成長が予想される薄力粉市場に積極的に参入したものの、いくら品質が良くても高価格な「宝笠」は、海外ではなかなか受け入れられないのが現状です。そこで、日本産の高性能オーブンや神戸が誇る職人の技術といった付加価値とともにパッケージ化し、オールジャパンでブランド力のアップに努めています。2019(令和元)年8月にはシンガポールにおいて、現地のパティシエや製菓実習生などを対象とした製菓講習会を、神戸のパティシエを講師に迎えて開催しました。

シンガポールで神戸市内の著名なパティシエの技を紹介しました。

昨年7月からは「宝笠スイーツスマイルプロジェクト」を進めています。笑顔あふれる美しい地球を次世代につなぐために、「宝笠」の売り上げの一部を熱帯雨林保護活動に充てるというもので、同プロジェクトの趣旨に賛同するスイーツ店をサポーターとして募集中です。

「私どもの活動にシンパシーを感じ、仲間となっていただける方々をもっと増やし、皆さんと一緒に『宝笠』と日本スイーツを世界に向けて発信していきたいと思います。まずはアジアですが、いずれはお菓子の本場フランスに認められれば最高ですね」と下川さん。一世紀以上にわたり日本のスイーツ文化を支え続けてきた増田製粉所は、次の100年を見つめています。

株式会社増田製粉所
〔本社〕神戸市長田区梅ケ香町1-1-10
   TEL:078-681-6701
宝笠印小麦粉ブランドサイト https://takaragasa.jp/
増田製粉所Webストア https://masufun.stores.jp/
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