大みそかの「年越しそば」同様、うどんの本場、香川県では年始に「年明けうどん」の文化があるのをご存じですか。神戸で味わえる個性豊かな年明けうどんを紹介します。

赤飯をついた餅入りのおめでたい一杯（吉家）

神戸市中央区、北野の異人館通りで2012（平成24）年から営業を続ける讃岐うどん店「吉家」が毎年提供しているのは、紅白の餅などで正月らしく仕上げた「年明けうどん」（1,000円）。神戸生まれの店主、川崎章次さんが、香川県の職業訓練校のうどん科で学んだ基礎をベースに、国産小麦100％の麺と北海道産利尻昆布をはじめかつお節やさば節などを独自にブレンドしただしに、正月らしい具材でアレンジを加えています。

特徴は、赤飯をついた小豆入りの赤い餅。「正月らしく餅を入れようと思った時に、赤い餅は赤飯でも作れるんじゃないかと思って作ってみました」と川崎さんは話します。ほんのり赤い餅は、餅米をついた白餅と共に軽く揚げてからのせており、程よく粘りがあって小豆の食感がアクセントになっています。うまみたっぷりの風味豊かなだしとも相性抜群です。トッピングには、おぼろ昆布やかつお節といった縁起ものもプラスされています。「毎年、これを目当てに来てくださるお客さまもいらっしゃいます。うちなりのアレンジを楽しんでいただけたら」と川崎さん。

提供は1月4日（日）～15日（木）まで（材料がなくなり次第終了）。めでたいもの尽くしの一杯は、幸せに満ちた一年を約束してくれそうです。

心身ぬくもる粕汁うどん（おうどん くるみ家）

神戸市須磨区、板宿商店街の近くにある「おうどん くるみ家」は、板宿で生まれ育った店主の武井修平さんが、香川の有名店での修業を経て2014（平成26）年に開業した讃岐うどん専門店。兵庫県内の野菜をはじめとする食材をふんだんに取り入れた手打ちうどんを提供しています。

10年ほど前から出すようになったという「年明けうどん」（1,100円）は、粕（かす）汁にうどんを合わせたユニークな一品。「冬に単品で出している粕汁が好評だったので、年明けうどんにしてみました」と武井さんは話します。主に「富久錦」や「仙介」など県内産日本酒の酒粕を使用。具材は仕入れによって少しずつ変わりますが、金時ニンジン、西洋ニンジン、ダイコン、ハクサイといった旬の野菜に、豚肉、こんにゃくを加え、仕上げに地元の老舗「黒田蒲鉾店」に並ぶ、桜をかたどったウズラの卵入りかまぼこと、深紅の糸唐辛子、刻んだユズをのせています。「桜のかまぼこでかわいらしく仕上げています。麺は国産小麦100%、さまざまな野菜に合うよう適度な太さと弾力で打っています。粕汁との融合を楽しんでいただけたら」と武井さん。提供は1月6日（火）～31日（土）の予定です（材料がなくなり次第終了）。

芳醇（ほうじゅん）な味わいの汁をすすってしばらくすれば、体の芯からぽかぽかに。新年から身も心も温めてくれる、具だくさんで栄養満点の一杯です。