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冬季限定!口の中でとろける水ようかん

近年、福井県の冬の味覚として水ようかんが注目されています。兵庫県内の和菓子店にも冬季限定のようかんがあるのをご存じですか。こたつで冷たいようかん。新発見の楽しみ方です。

小豆の味を最大限生かした「一枚流し」(満月堂)

神戸市北区淡河町。かつて宿場町として栄えた山あいのまちに「満月堂」はあります。創業1882(明治15)年。初代、豊助の作る薄皮まんじゅうは有馬温泉を訪れる湯治客の間で評判となり、いつしか「豊助饅頭」と呼ばれるようになりました。

その味を代々受け継いできた老舗が冬場だけ製造・販売しているのが、縦15㎝、横10㎝ほどの紙箱に入った水ようかん「一枚流し」です。その名の由来は、箱に材料を流し入れ、カットせずにそのまま販売するところから。“冬の水ようかん”の本場、福井県ではポピュラーな製造方法です。「亡くなった4代目が福井で食べた水ようかんのおいしさに感銘を受け、自分の店でも作るようになったと聞いています。30年前には既に商品としてありました」と話すのは株式会社満月堂の取締役、吉村元子さんです。

作り方は至ってシンプル。煮溶かした寒天に北海道産の小豆で作ったこし餡、砂糖を加え、弱火にかけながらよく混ぜ合わせます。箱に流し入れ、常温まで冷ましてから冷蔵庫へ。翌日、一晩冷やし固めたものを販売します。「小豆そのものの風味を味わってもらうため、砂糖は控えめ。余分なものは一切入れていません。その分、消費期限は販売日を含めて3日なんです」。 付属の木べらで一口大に切って口に運ぶと、舌の上でとろけ、一瞬で消えてなくなる滑らかさ。あっさりと上品な味わいで、ついつい手が出てしまいます。「一度に1枚全部食べる方もいらっしゃいますよ」と吉村さんは笑顔を見せます。日本茶はもちろん、紅茶やコーヒーとも相性良し。温かい家族団らんの場に似合いそうです。

水ようかんは「でっちようかん」と呼ばれることも。練りようかんと比べて煮詰めが足りず、でっちのように半人前だから、また安価なためでっちが里帰りの際に土産にしたからなど、その由来には諸説あります。
「一枚流し」(594円)は11月から翌年3月までの季節限定商品。「これを目当てに来られるお客さんも多いです」と吉村さん。
満月堂
神戸市北区淡河町淡河754-1
TEL:078-959-0031
営業時間:8:00~18:30
定休日:水曜、不定休
アクセス:神姫バス「淡河本町」下車徒歩すぐ
HP:https://mangetsudou.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/mangetsudo/
マップ:https://maps.app.goo.gl/5JbwQ4c4nCT7dut78

自然の冷気で冷やす「いな川でっち」(いな川本舗 上政)

北摂地域の山村では江戸時代後期から、寒さが厳しい農閑期に寒天を製造。それを使って作られたのが水ようかんでした。練りようかんに比べて砂糖が少なく、日持ちがしないため冬季にのみ食され、現在も冬限定の和菓子として愛されています。

川西市の北部、能勢電鉄「山下」駅前に店を構える「いな川本舗 上政」でも、1883(明治16)年の創業来、冬の風物詩として水ようかんが作られてきました。店先ののぼりには「名物 いな川でっち」の文字。寒風が吹く季節のみ登場する人気商品です。

使用する小豆は北海道産。傷のないきれいなものだけをより分けてこし餡を作り、砂糖とともに煮溶かした寒天の中へ。かき混ぜながら粗熱を取ったら縦40㎝、横30㎝ほどの木製の型に流し入れ、冷やし固めます。「うちでは冷蔵庫ではなく自然の冷気で冷やすので、作業場が天然の冷蔵庫になるくらい寒くならないと作れません」と5代目店主の上野和信さん。しかも、少量しか製造しないので予約は必至です。

おいしくいただけるのは2日間。「買ったその日はそのまま食べて、残ったら電子レンジで温めるとおいしいお汁粉になりますよ」と妻の淑子さんが教えてくれました。1日目は冷菓として、2日目は汁ものとして。二通りの楽しみ方ができる冬の北摂名物です。

のぼりが出たら、水ようかんの販売が始まった合図。冬の訪れを知らせてくれます。
10切れ入り「いな川でっち」(1,200円)の製造・販売は例年2月下旬まで。終了日は
ホームページで確認を。
いな川本舗 上政
川西市見野2-36-8
営業時間:9:00~18:00
定休日:月曜、水曜
アクセス:能勢電鉄「山下」駅から徒歩すぐ
HP:https://uemasa.co.jp/
マップ:https://maps.app.goo.gl/qFgX52QrTJE3aJNA7
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