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神戸・北野で海外グルメ旅

多様な国の人が行き交う港町、神戸。とりわけエキゾチックな雰囲気が漂う山手、北野かいわいには、なかなか行けない遠い国の料理店が集まります。異国の食に触れ、旅気分を味わいませんか。

父から受け継ぐ「おふくろの味」

「チリ料理と聞くと、香辛料のチリを連想して辛い料理と思う人が多いですが、それは誤解です」と笑うのは、「グラン ミカエラ イ ダゴ」のオーナーシェフ、クリスティアン・メリリャン・一色さん。父のダゴベルト・メリリャン・ハラさんが1974年に創業した同店を継ぎ、チリの家庭料理や伝統料理を提供しています。

オーナーシェフのクリスティアンさん。「オープン当初からの定番メニューのほか、旬の食材を取り入れたメニューもそろえています」

チリの料理はスペインの植民地だった歴史から、トマトや魚介、オリーブオイルなどを用いる地中海風で、さらにドイツや東欧諸国からの移民、先住民族であるマプチェの食文化が融合したといわれています。

パイ包み「エンパナーダ」はチリを代表する料理の一つで、同店の名物。牛肉とタマネギのほか、固ゆで卵、オリーブ、レーズンが入るのがチリ版の特徴だそうです。「チリやアメリカの海軍で務めた父は神戸で母と出会って退役し、やがて店を開きました。祖国ではかつて曾祖母がパン屋をしていて、父もそれを手伝っていたそう。うちのエンパナーダは曾祖母のレシピを受け継いだ『おふくろの味』です」

ダゴベルトさんはプロサッカークラブ「ヴィッセル神戸」の誕生に関わり、クリスティアンさんは日本各地のサッカークラブで通訳を務めるなどサッカーとの縁も深い同店。ペレやマラドーナなど著名な選手も訪れ、店内にはサインやユニフォームがずらり。ファンが集う「聖地」ともなっています。

「エンパナーダ(牛肉)」(1個600円)。オーブンで焼き上げた軽い食感のパイに具がたっぷり。トマトやタマネギ、コリアンダーのみじん切りをレモンなどで味付けした「ぺブレ」を付けるとさらに美味。
白身魚やサーモン、イカ、ムール貝、大アサリなど具だくさん魚介スープ「カスエラ デ マリスコス」(1,900円)。魚介のうまみがたっぷり染み出したトマトベースのスープを、先住民の作る燻製唐辛子「メルケン」が引き締めます。
「ピスコ サワー」(900円)は、「サワー」と付くものの炭酸ゼロ。マスカットを蒸留したブランデー風のチリの地酒「ピスコ」とレモン果汁、シロップ、卵白をシェークした甘酸っぱいカクテル。「仕上げにシナモンパウダーをかけるのが、元海軍の父が親しんだ海軍将校クラブ流です」
グラン ミカエラ イ ダゴ
神戸市中央区中山手通2-13-8 エール山手2F
TEL:078-241-0367
営業時間:18:00~23:00(L.O.22:30)
定休日:火曜、祝休日の月曜
席数:カウンター5席、テーブル12席、テラス2席
アクセス:各線「三ノ宮」「三宮」「神戸三宮」駅から徒歩約10分

料理でひもとく神秘の国の奥深い食文化

ナイル川がもたらす豊富な農作物や、地中海で取れる新鮮な魚介など食材に恵まれたエジプト。古代から伝わる伝統料理や、イラクやイタリア、ギリシャといった地中海沿岸の国々との交流を通じて生まれた料理が今に受け継がれています。

「料理を通して故郷のエジプトを紹介したい」と2011年に「エジプト料理&地中海料理 JINA」をオープンした藤原ジーナさん。メニューはフランス産鴨肉がメインの「JINAコース」と、日替わりメインの「本日のコース」の2種(いずれも全7品6,000円、要予約)。「香辛料はあまり使わず、塩こしょうやオリーブオイルなど味付けはシンプル。素材の味を生かす料理が多いです」。現地の味を再現するため食材を吟味し、バターも手作りにこだわります。

藤原さんは、ANAクラウンプラザホテルやベイシェラトンホテルなどでイタリアンシェフを務めた経歴の持ち主。カウンター10席ほどの小さな店を持つことに反対する声もあったそうですが、お客一人一人と向き合える対面スタイルを選びました。

「料理には土地や民族、歴史のエッセンスが詰まっています。本物のエジプト料理を知ってもらい、その人の心に何かを残すことができれば」。供される一皿を味わいながら、古代から連綿と続く豊かな食文化に思いをはせてみては。

手前は「オードブル」。ナスのマリネ、焼き甘唐辛子のニンニクソース詰め、干し柿とクリームチーズ、アーティーチョーク、塩漬けサバのスモーク、塩ゆで鴨肉のロースト、カラスミ、フレッシュトマトとフェタチーズ。奥は「ハワウシ」。パンにラム肉のミンチを挟んで焼いたエジプトのピザ風ファストフード。
有頭エビにセロリ、ディル、ニラなどの香味野菜を詰めて蒸し焼きにした「アレクサンドリア風エビのハーブ蒸し」。
手作りバターの甘い香りが広がる「鴨のバターロースト」(写真は2人前)。鴨から取ったスープを含ませたパイ「ルッアー」と季節の焼き野菜を添えるのが定番。
ヒヨコ豆とゴマのペースト「ホンモス」。小麦粉とふすま粉をブレンドしたパン「エイシュ」に付けていただきます。
デザートは、季節に応じたエジプトの伝統菓子。この日はセモリナ粉の焼き菓子「バスブーサ」。バニラシロップをたっぷりと染み込ませたしっとりとしたケーキで、紅茶との相性抜群です。

エジプト料理&地中海料理 ジーナ
神戸市中央区中山手通1-22-10 象ビル2F
TEL:080-5789-1094
営業時間:18:00~23:00(L.O.22:00)
定休日:日曜、月曜、祝休日
席数:カウンター10席
アクセス:各線「三ノ宮」「三宮」「神戸三宮」駅から徒歩約10分

陽気な音楽とともに楽しむ国民食

常夏のカリブ海に浮かぶ島国、ジャマイカの食文化は、先住民族タイノと、植民地として支配してきたスペインや英国、さらにアフリカ、インド、中国からの移民の影響を受けたとされています。

ミュージシャンとして約20年間、世界28カ国を巡ったジャマイカ出身のノエル・ウインストン・リンズィーさんは、妻・みどりさんとの結婚を機に日本に定住。神戸に移り、最初にオープンしたバーを震災で失った後、ジャマイカ料理を振る舞うレストラン「JAMAICANA」を1998年に開きました。

元ミュージシャンのオーナーシェフ、ウインストンさん。82歳の今も色あせない伸びやかな歌声を聞かせてくれることも。

定番料理の一つ「アキー&ソルトフィッシュ」は西アフリカ原産の果実「アキー」と干しだら、野菜を炒めた料理です。見た目は炒り卵そっくりのアキーは甘くなく、とろけるような滑らかな舌触りとナッツのようなこくに驚かされます。「アキーは栄養価が高く、ジャマイカを代表するナショナル・ディッシュ(国民食)。特別な許可を取り、日本で初めて缶詰を輸入しました」

「一度食べたら必ずリピートしたくなります」と、ウインストンさんが太鼓判を押すのはソウルフード「ジャークチキン」。現地で調達するタマネギやニンニク、ハーブなどのミックススパイスを使ったソースに鶏もも肉を漬け込み、オーブンで30分ほどじっくりと火を通すため、軟らかくジューシーな仕上がりに。店内に流れるゆったりとしたレゲエのサウンドとともに、本場の味わいが楽しめます。

「アキー&ソルトフィッシュ」(1,700円)。インゲンマメの一種、キドニービーンズの豆ご飯「ジャマイカンライス&ピーズ」にのせていただきます。
「ジャークチキン」(1,150円)。セットの手作り揚げパン「フェスティバル」はサクサク、しっとりとした食感とほんのりと香るバニラの甘い香りが癖になります。「鶏のうまみが溶け出したソースに付けて食べるのがおすすめです」
ジャマイカのラガービール「Red Stripe」はすっきりと飲みやすく、ジャークチキンにもぴったり。
ジャマイカーナ
神戸市中央区中山手通1-22-27 DOM'Sビル8F
TEL:078-251-6488
営業時間:11:30~14:00(L.O.13:00)、17:00~24:00(L.O.23:00)※平日のランチは要予約
定休日:月曜(祝休日の場合営業)
席数:テーブル18席 ※貸し切りの場合20席
アクセス:各線「三ノ宮」「三宮」「神戸三宮」駅から徒歩約10分
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