一人鍋で心も体もほっこりと
寒い夜は温かい鍋料理が恋しくなります。大きな鍋をみんなでつつくのは避けたいご時世、一人鍋を提供するお店を集めました。自分のペースで心置きなく楽しみましょう。
石川県民のソウルフード「とり白菜」
石川県かほく市のソウルフード「とり白菜」をご存じですか。鉄鍋でハクサイと鶏肉を炒め、たれにつけて食べる非常にシンプルな料理で、1950(昭和25)年、養鶏場で働く男性が、卵を産まなくなった親鶏の活用のために開発したといわれています。
「西宮白菜キッチン コルチナ」店長の山岸光明さんは20余年外食産業に従事。「とり白菜」を提供する石川県の店舗にも一時在籍しました。「シンプルなのにおいしい、その味に感嘆し、関西にも広めたいと2019年に店をオープンしました」と話します。
コルチナの「とり白菜」は、「親とり白菜」「若とり白菜」「豚白菜」「とりもつ白菜」の4種類。いずれも、てんこ盛りのハクサイが鉄鍋に入って登場します。火を着け、炒めるように混ぜていくと、食欲をかきたてる香ばしい匂いが漂ってきます。「鍋底にたっぷり注いでいる自家製の鶏油(チーユ)の香りです」と山岸さん。鶏油を具材にしっかり絡ませるのがポイントだそう。ハクサイがしんなりしたら食べ頃です。
厳選したしょうゆなどを混ぜ合わせた特製だれは、元祖の店の味を基本にコルチナ独自にアレンジ。ぷりぷりの新鮮な鶏肉としゃきしゃきのハクサイをちょっと濃いめのたれで。ご飯のおかずにはもちろん、ビールにも合う癖になる味です。
西宮市久保町8-18 1F
TEL:0798-55-4969
営業時間:11:00~14:00、17:00~22:00
定休日:月曜
席数:カウンター9席、テーブル22席
アクセス:阪神「西宮」駅から徒歩約10分
立浪部屋伝統の味を残した14種の創作鍋
細い道の両側に、食料品店をはじめとする多様な店が並ぶ兵庫区の東山商店街。その一角に白い大きなのれんが印象的な「ちゃんこ長 華吹(はなかぜ)」があります。立浪部屋で長年ちゃんこ長を務めた元力士、山口大作さんが2022(令和4)年4月にオープン。伝統の味を残しながら、独自のアレンジを加えた創作鍋が14種そろいます。
一番人気は「和牛肉鍋」。さばぶしやあじぶし、昆布やいりこで取っただしがベースの鍋つゆで、牛肉やハクサイ、モヤシ、エノキダケ、豆腐を煮ていただきます。煮上がったところを牛肉から。あっさり、上品な味付けも相まっていくらでも食べられます。「伊賀牛のブリスケットを使用しています。バラとロースの中間ぐらいの味わいです」と教えてくれたのは山口さんの右腕、店長を務める宇都宮健介さんです。
商店街での買い物ついでに立ち寄れるよう昼間から開店。季節に合わせて具材を変えたり、新たな鍋つゆを開発したりと、常連さんも飽きない店づくりに努めています。
神戸市兵庫区東山町2-7-20
TEL:078-511-4129
営業時間:11:00~22:00(L.O.21:00)
定休日:月曜
席数:カウンター18席、テーブル8席
アクセス:地下鉄「湊川公園」駅または神戸電鉄「湊川」駅から徒歩約5分
「女性にもっと鍋を堪能してほしい」との思いから
各線「三宮」駅に程近いビルの地下1階に、一人鍋専門店「神戸しゃぶしゃぶKAIRA」はあります。オープンはコロナ禍前の2017(平成29)年。「その頃、神戸には一人でしゃぶしゃぶを食べられる店があまりなかった」と店長のソノダさんは言います。「特に女性に、気兼ねなく自分のペースで鍋料理を食べてほしいと思い、一人鍋の店にしました。女性は取り分けたり、材料を加えたりと、他の人の世話に回りがち。一人鍋なら存分に食べられます」
しゃぶしゃぶがメインで、肉のグレードにより豊富なメニューが用意されています。付け合わせの野菜も15種(ランチは9種)とヘルシー。それぞれの産地にもこだわっています。
さらに、女性向けに開発したのが「トマトすき鍋」です。自家製の甘辛味の割下にトマトの酸味が絶妙にマッチし、バジルの風味がアクセントになっています。トマト以外にも、ハクサイ、ネギ、ニンジン、レンコン、シメジといった新鮮な野菜がたっぷり。肉は、牛、豚、ミックスから選べます。
神戸市中央区小野柄通7-1-5 マキビルB1F
TEL:078-855-3899
営業時間:11:00~14:30、17:00~22:00
定休日:水曜
席数:カウンター12席、テーブル8席
アクセス:各線「三ノ宮」「三宮」「神戸三宮」駅から徒歩約5分