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元公邸料理人の味①かつ丼 桜花

世界各国に赴任した大使や総領事が暮らす日本国大使館・領事館の専属料理人を「公邸料理人」と言い、現地の要人や諸外国の外交官、日本からの来賓などをおいしい料理でもてなすのが仕事です。神戸・阪神間で活躍する元公邸料理人とその味を紹介します。

南国で腕を振るった料理人の究極のかつ丼

阪急「仁川」駅前に2024(令和6)年1月にオープンした「かつ丼 桜花」は、サモアとマーシャル諸島の日本国大使館で料理人を務めた伊永大樹さんが営むかつ丼専門店。大阪市生まれの伊永さんは23歳から5年間、逆瀬川にある餃子と創作料理の人気店でジャンルにとらわれない多様な料理を手がけた後、独立しようとした矢先、コロナ禍に。知人から公邸料理人を派遣する一般社団法人国際交流サービス協会を紹介され登録すると、程なくサモアの大使館から声がかかります。「日本とは全く違う環境下で料理がしかったので、魅力を感じました」と振り返ります。

南太平洋の島国サモアでは、日本とは取れる食材も大きく異なり、手に入ったものを駆使して和洋折衷のコース料理に仕立てていたそうです。1年半後、大使の定年退職に伴い契約は終了。次なる赴任地が打診され、同じ南洋のマーシャル諸島へ向かいます。そこはさらに未開の地で、停電することもしばしば。ただし魚は豊富に取れ、名前も分からない色鮮やかなものをさばいて刺し身にしたり、すしを握ったりしたといいます。「あるものを使って工夫することを学び、いい経験になりました」

約1年の任期を終えて帰国すると、日本もようやくコロナ禍を脱出。かねてから着目していたブランド豚「地養豚」を用いたかつ丼店を始めます。「数年前、たまたま口にした時に衝撃を受け、この肉の魅力を伝える店を出したいと考えていました」

青森県の養豚場から仕入れる地養豚は、ハーブなどが入った餌を食べて育ち、肉に臭みが全くなく、軟らかくて脂が乗り、甘みもしっかりあります。その特長を十分引き出すため、揚げ方に工夫が見られます。「衣を付け、まずは低温でじっくり温めてから高温でからっと揚げます。こうすることで肉の水分が保たれ、みずみずしく仕上がります」

丼の作り方も、カツをつゆと卵でとじる一般的なものとは異なり、こだわりが光ります。まずはほんのり香ばしい十六黒米をよそい、ふんわり半熟にした卵に余熱でうまみを全体に行き渡らせたカツのせ、程よく甘みとこくがあるたれをかけて完成です。「一般的なかつ丼の3倍近い手間暇をかけています。全国から足を運んでもらえる店になれば」と伊永さん。南国での日々を懐かしみながら、「究極のかつ丼」を提供します。

ロース220gの「かつ丼 上」(1,600円)。他に、170gの「かつ丼 並」(1,300円)、「数量限定 リブロースかつ丼」(1,700円)もあります。いずれも味噌汁付き。
公邸料理人時代にあつらえてもらったという割烹着を身に着けて厨房に立つ伊永さん。「一度食べたらまた食べたくなるかつ丼だと思います」と胸を張ります。
オープンキッチンのカウンターのみの店内。平日でもすぐ満席になるそうです。
かつ丼 桜花
宝塚市仁川北2-6-10 サンローゼ仁川1F
TEL:070-2670-5117
営業時間:11:00~15:00、17:00~21:00
定休日:木曜
席数:カウンター10席
アクセス:阪急「仁川」駅徒歩すぐ
マップ:https://maps.app.goo.gl/8zBqkAFidREWfpPq5
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