- 大正期の和風別荘の特徴を残す旧山田家住宅
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大正期の和風別荘の特徴を残す旧山田家住宅
宝塚市南口に位置する旧山田家住宅は、1921(大正10)年に建てられた近代和風住宅です。大正時代に別荘地として発展した住宅地の一角にあり、当初は、家人が冬の寒さを避けて暮らす別荘として利用されていました。ほぼ竣工時の姿をとどめており、宝塚の開発期を代表する文化財として1999(平成11)年に宝塚市の国登録有形文化財第1号となりました。毎年春と秋に一般公開しており、今秋は11月7日(金)~9日(日)に行われます。
宝塚の街中にたたずむ近代和風住宅
阪急「宝塚南口」駅から徒歩約5分。商業施設や住宅が並ぶにぎやかな一角に、石垣を礎とした土塀に囲まれて旧山田家住宅は立っています。木戸門をくぐり、石畳のアプローチに沿って前庭を行くと、主屋(しゅおく)の玄関に至ります。
主屋は、入母屋(いりもや)屋根の四方に一段低い屋根、下屋(げや)を付けています。「二重屋根の平屋建てに見えますが、天井が低い2階部分『厨子(つし)二階』があります。中2階の物置として使われていたようです」と、同住宅を管理する宝塚市教育委員会社会教育課の担当者は話します。
建物の見どころは、3畳間が付いた玄関、北と東の2面に縁を持つ床脇書院付きの客間、主屋と離れの浴室をつなぐ渡り廊下など。「大正期以降、洋風の生活様式が広まったことにより、1階の中央部を東西に貫く廊下も採用されています。今ではマンションなどに多く見られる中廊下式という間取りですが、建築当時は珍しかったことでしょう」


こだわりが詰まった和風別荘の典型
つくばいや築山が風情を醸し出す庭園も必見です。「庭は日当たりのいい南の方角にあることが多いのですが、北側に造られています。日当たりよりも、家人が屋内から庭を鑑賞できることを優先しているからで、和風別荘の典型と言われるゆえんです」とのこと。軒の裏側は、「化粧垂木」と呼ばれる構造材をそのまま見せる仕様になっています。「通常は見えない部分を見せるため、良い材料を用い、見た目にもこだわって造られています。この手法は、大変手間がかかる上に防火の観点からも現代では少なくなっています」
屋外で忘れてはいけないのが建物を支えている礎石です。「昔の住宅は礎石という石材に載っているだけで、現代の住宅のように基礎部分に固定されていません。大きな主屋が礎石に載っている様子をぜひご覧ください」と担当者は話します。
一般公開の3日間は、11時から16時まで自由に見学できるほか、各日10時から11時までは解説付き見学(有料、要申し込み)も行われます。「一般社団法人宝塚まち遊び委員会理事の北夙川不可止さん、中川ちあきさんの解説で、建物の1階全域をご案内します」
大正期の近代和風住宅について深く知ることができる絶好の機会です。秋の一日、足を運んでみませんか。

日時:①11月7日(金)②11月8日(土)③11月9日(日)
場所:旧山田家住宅(宝塚市南口2-12-37)
アクセス:阪急「宝塚南口」駅から徒歩約5分
【自由見学】
日時:①②③11:00~16:00
料金:無料
申し込み:不要
【解説付き見学】
日時:①②③10:00~11:00
解説:①北夙川不可止さん(文化史)②③中川ちあきさん(建築)
定員:各日15人(抽選)
料金:500円
申し込み:10月28日(火)17:30までにHPの申し込みフォームから ※抽選結果は10月30日(木)に通知
【同時開催】
いけばな展示「暮らしの中の花々~旧山田家住宅~」
料金:無料
協力:宝塚いけばな協会
問い合わせ:宝塚市教育委員会社会教育課
TEL:0797-77-2029
HP:https://www.city.takarazuka.hyogo.jp/kyoiku/rekishi/1036697/1056140.html