杭瀬中市場の美味をさかなに昼飲み
尼崎市の南東端、大阪市西淀川区に隣接する杭瀬地区は、阪神「杭瀬」駅の北側に6つの商店街と3つの市場が網の目のように広がる“商店街のまち”です。その一角を成す杭瀬中市場にある「好吃(ハオチー)食堂」は、同市場内で購入した商品なら持ち込みOKという市場愛に満ちた台湾料理店です。
「商店街に活気を」が第一義の台湾料理店
杭瀬中市場は戦後の闇市から発展し、最盛期の昭和30年代後半には南北40mほどの通りに約40店が営業していました。しかし、高齢化や消費スタイルの変化などで次第に店舗が減り、シャッター街のような状況に。寂しくなった同市場を盛り上げようと、地域の再生に携わる若狭健作さんが2019(令和元)年11月にオープンしたのが、「好吃(ハオチー)食堂」です。
もともと台湾が好きだった若狭さん。台湾では屋台でいろいろ買って食べるスタイルが一般的で、刺し身や焼き鳥、ホルモン焼きなどおいしいものがそろう杭瀬中市場に、台湾の屋台のような店を作ろうと思ったのが出店のきっかけです。「持ち込みOKの理由は、そもそもの開店の目的が商店街の活性化だから。厨房が狭く、多くのメニューを提供できる環境ではないことも大きいですね」と話すのは、若狭さんから店を任されている店長の福田真也さんです。
平日の料理メニューは、「魯肉飯(ルーローハン)」と「涼麺(リャンメン)」のみ。週末は「世界の屋台めし」を週替わりで提供しています。もちろん、使う食材は全て同市場内で調達します。 魯肉飯は、雑穀米にひと口大の煮豚をのせた丼で、老舗豆腐店「宮島庵」の厚揚げもトッピング。一方の涼麺は、「三和製麺所」の太めの中華麺を使用。ごまだれには「宮島庵」の出来たて豆乳を配合し、付け合わせの野菜は「伊藤青果店」から仕入れています。「昼限定の『選べるおそうざい』には、『宮島庵』の冷ややっこや『伊藤青果店』のおじいちゃんが作ったぬか漬けなどを用意しています」


ビールのあては安くておいしい中市場グルメ
同店には台湾や神戸のクラフトビールを置いており、他店であてを買って昼飲みを楽しむ人も多いとか。福田さんイチオシのあては、向かいにある「とりよし」の焼き鳥です。
店主の石原将嗣さんは、父親が経営する総菜店を手伝うため、小さい頃から同市場に出入りをしていたそう。2020年7月に同市場の6店舗が火災で焼けた直後、再興の一助にと雑貨店「WIN WIN SHOP」をオープンし、その1年後、後継者を探していた「とりよし」の前店主から店を引き継ぎました。「長い間愛されてきた中市場の味。なくすわけにはいかないと思いました」
福田さんのもう一つのおすすめは、「ひらの鮮魚店」の旬の魚介の新鮮な刺し身。店頭では、常時10種ほどが驚くほどの安さで販売されています。「『田渕食品』のホルモンなど、中市場には安くておいしいものがまだまだいっぱいあります。うちの店を拠点にグルメ探しをしてもらえれば」と話します。 「まちを元気に」という店主たちの思いがあふれる通りで美味探し。おいしく、心温まる一日になりそうです。



尼崎市杭瀬本町1-19-5
TEL:070-1748-8020
営業時間:11:00~17:00(売り切れ次第閉店、金曜、土曜は20:00まで)
定休日:不定休
席数:カウンター9席、テーブル2席
アクセス:阪神「杭瀬」駅から徒歩約5分
マップ:https://maps.app.goo.gl/GcAxoEob1tmpVKYu9
尼崎市杭瀬本町1-18-12
TEL:06-6401-8118
営業時間:9:30~17:00
定休日:木曜
アクセス:阪神「杭瀬」駅から徒歩約5分
マップ:https://maps.app.goo.gl/LNp4FUB1YcnixUep9
尼崎市杭瀬本町1-18-15
TEL:06-6481-1459
営業時間:10:00~18:00
定休日:木曜
アクセス:阪神「杭瀬」駅から徒歩約5分
マップ:https://maps.app.goo.gl/swLAMA4JKTd6reb48